「日本古来の組子細工」の魅力パリへ 雲南の舟木木工所、7月の「ジャパンエキスポ」出展 島根県

島根県産木材などを使った組子細工の製品を作る野尻香織さん=雲南市加茂町三代、舟木木工所

 日本古来の木工技術「組子細工」の製品を製造する舟木木工所(雲南市加茂町三代、舟木清代表)が7月、県産木材を使った製品をフランス・パリで開かれる日本文化の祭典「ジャパンエキスポ」で展示販売する。欧州各国から企業関係者らも大勢集う同イベントで、日本の工芸技術とともに、県産木材の魅力を広く伝え、販路を開拓する。

 組子細工は飛鳥時代から続く技術で、くぎなどを使わずに厚さ1ミリ程度の木片を組み合わせて幾何学的な模様を作る。舟木木工所はヒノキやスギ、ケヤキといった木材を調達し、製作。その多くが島根県産材で、高い技術力やデザイン性が地元産材の高付加価値化につながっている。

 障子やふすまといった建具のほか、組子細工を身近に感じてもらおうと、手のひらサイズの置き飾りの制作キットやアクセサリーを商品化している。

 昨年、ジャパンエキスポの公式パビリオンを運営する一般社団法人・ジャパンプロモーション側から打診があり、「海外での需要を確かめる機会」と出展を決めた。ピアスやネックレス、ブローチなど約10種類、数十点を並べる予定。

 舟木清代表を中心に従来から、市内外で開く出張講座などで組子細工の魅力を伝えてきた。初の海外出展を担当する舟木木工所の野尻香織さんは「県産木材を生かした組子細工の魅力を伝え、海外での取引につなげたい」と話した。

 開催期間は7月11~14日。パビリオンには毎年100前後の職人やクリエーターが日本の美術・工芸品などを並べており、2023年度はフランスを中心に欧州各国の約10万3千人が来場したという。

 総面積5万5318ヘクタールの約8割を森林が占める雲南市は、市内外の事業者と協力し、地元産木材を使った商品の開発や流通促進に取り組む。これまでに森林組合と関西のフローリング材メーカーが共同で表面に市産材を使用した床材を作るなどしており、33年時点で地元産材の出荷、利用量を現在の2倍程度の1万立方メートルに増やす計画にしている。

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