「負けたままで終わりたくなかった」 ソフトバンク海野隆司がリベンジのマスク 前夜はルーキーへの配球で小久保監督から苦言

3回、ベンチ前で先発の大関(右)と言葉を交わす海野(撮影・西田忠信)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク6―3ヤクルト(13日、みずほペイペイドーム)

2試合連続でマスクをかぶったソフトバンクの海野隆司(27)が、この日はチームを勝利に導いた。前夜は大量失点を招き敗れただけに、「負けたまま終わりたくはなかった。無事に勝てたので良かった」とほっとした表情を見せた。

前日12日のヤクルト戦(みずほペイペイドーム)は反省点が多かった。同点の4回2死、満塁策を取って打席に迎えたのは高卒ルーキーの鈴木。ただ、「色んな事考えすぎてっていうのはあったので、バッターの反応とか正直あまり見れていなかった」と、大津亮介が投じた低めの変化球を痛打され勝ち越しを許した。

試合後、小久保監督からは「あそこで10年目の選手みたいな配球、配球というか打てるもんなら打ってみいという気持ちがバッテリーにあったかどうかはすごい大事やと思います。この世界には。そんな甘いもんじゃなくて、それがだからあそこで逃げとは思わんけど、プロの先輩としてというか、この世界でそういう気持ちをバッテリーがお互い持っていたかどうかはすごく気になりましたね。今日のあの対決を見て」と厳しい言葉が飛んだ。

高谷裕亮バッテリーコーチと「どんな打ち取り方をしたかったのか」、「打者の反応は見ることができていたのか」など話し合った。「切り替えることは正直難しいですけど、投手が代わるので。昨日は大津でしたけど、今日は大関で。引きずったらピッチャーにも伝わっちゃうし、今日は思い切ってというか、大胆にやっていこうという話はしました」と、先発の大関友久の緩急を引き出した。高谷コーチも「しっかりと打者の懐にというか、攻めていた。色んなボールを球種を消さずに投手をリードしていた」と評価した。

今季はすでにシーズン最多の19試合で先発マスクをかぶっている。試合前の夜には野球の夢を見るほど、〝野球漬け〟の日々が続いている。それだけ首脳陣からの期待も大きく、高谷コーチは「抑えたり打たれたり、勝ったり負けたりすると思うんですけど、そういうのをやっぱり自分のものにしていかなくちゃいけない。引き出しをどんどん作っていってほしい」。

「誰も助けてくれないので自分で乗り越えるしかない」。チームを引っ張る扇の要になるため、27歳は成長の足を止めない。(大橋昂平)

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