【香港】中央が辞任判事を非難、「英国の政治道具」[政治]

香港の最高裁に相当する終審法院の非常任判事を辞任した英国のジョナサン・サンプション氏が、英紙フィナンシャル・タイムズに「香港の法治が重大な危機」と題する評論を寄稿した問題で、中国国務院(中央政府)で香港・マカオ政策を所管する国務院香港マカオ事務弁公室は12日、サンプション氏を「英国の政治的道具」と非難する論評を発表した。「プロ意識と職業倫理を徹底的に放棄した」などと罵倒している。

「港澳平」という署名入りの文章を発表。サンプション氏が英紙で行った評論は「いささかの事実も法的根拠もなく、純粋なでまかせだ」と切り捨てた。

サンプション氏が「国際的に評価されたベテラン判事でありながらプロ意識と職業倫理を徹底的に放棄し、法治の尊厳と同僚の裁判官に背いた」ことに対しては「恥ずかしさと悲哀、恥辱すら感じる」と批判。さらに「公正であるべき判事が事実を無視し、白黒をひっくり返した」「独立を堅持すべき判事が邪悪に屈し、魂を売った」「誠実であるべき判事が信用を守らず、同僚を傷つけた」などと激しい言葉を並べた。

論評ではサンプション氏らの辞任を「英国政府と『政治屋』による香港への卑劣な政治工作」によるものだと主張。サンプション氏はその「道具」となることに甘んじたとし、「彼は自らの名声を失墜させ、歴史の誤った一方に立つと決めたことを果てしなく後悔するだろう」と結んでいる。

香港では先週、英最高裁判事の経験を持つ2人が終審法院の非常任判事を辞任。サンプション氏は英紙への寄稿で香港国家安全維持法(国安法)裁判における香港高等法院(高裁)の判決を批判し、「かつて活気があり、政治的に多様なコミュニティーだった香港は、だんだんと全体主義になりつつある」などと香港の現状を憂えた。

香港政府は12日、国安法違反容疑で指名手配している英国在住の民主活動家ら6人に対し、パスポート(旅券)の無効化や資金源を遮断するなどの制裁措置を取ったと発表した。

© 株式会社NNA