「魚が手に入らない」危機的状況に立ち上がる トップシェフたちが伝える海の未来 守りたい伊豆近海の魚【しずおか産】

静岡県伊東市の城ヶ崎海岸で150年ほど前から続く伝統的な漁法「定置網漁」。二隻の船から声を掛け合い漁師たちが網を引き揚げます。ピチピチと跳ね回る魚。今回のしずおか産は伊豆近海の新鮮な魚です。

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<堀内さやかシェフ>
「きょうはお刺身です。やっぱりこれだけ鮮度いいものなので学生たちに獲れたての魚を経験してほしいです」

東京で日本料理店を営む堀内さやかさんです。6月2日、堀内さんなど東京や京都で活躍する一流のシェフたちが伊東市に集まり、全国の大学生などを対象にした合宿を開きました。若い人たちに水産資源の大切さや食文化について学んでもらうというプロジェクトです。

日本の漁業の生産量は1980年代をピークに当時の3分の1以下に減少しています。魚が手に入らない。そんな危機的な状況を何とかしたいとシェフたちが立ち上がったのです。

<Chefs for the Blue 佐々木ひろこ代表>
「相模湾と駿河湾というのは非常に豊かな海なんですよね。深いということもあるんですけど、多種多様な魚がいまして、沿岸漁業がとても発展している地域でもあります。その地域で定置網に乗っていただきたいという思いはありました」

<漁業関係者>
「ここにいる魚を今、獲るんですけど、定置網に入った魚のうち、実際に水揚げしているのは10%とか20%くらいしか獲ってない。自然に優しい漁業といわれてる」

<学生>
「(網が)あがってくるときのワクワク感がすごい」
「この漁の仕方を初めて見たし、一生印象に残り続ける経験だなって」

市場では、セリを見学し、魚が流通する仕組みを学びました。

さらに、水揚げしたばかりの新鮮な魚を刺身にしました。

<シェフ>
「トビウオ食べる?どう?アジとと比べてどんな感じ?自分の持っているモノでおいしさを表現してみて」
<学生>
「アジは脂がはじめに来たんですけどうま味がくる。噛んでも噛んでもうま味が強いんで」
<シェフ>
「そうだねアジよりも強いかもしれないね」

アジやトビウオ、カツオなどの刺身が並びました。

<学生>
「噛み切れないくらい弾力があるのと、すごいねっとりしてておいしいです」
「さっきまで生きてたんだなって感じる食感でした」

<堀内さやかシェフ>
「日本の海のことを思う上でおいしい体験てすごく大事だと思うんですよ。おいしいものを守りたいとか、この伊豆で学ぶっていうことはすごく意義のあることだと思いますね」

学生たちは8月、東京と京都で6日間限定のレストランを開き、しずおか産をはじめとした日本近海の魚の魅力を一般のお客さんに伝えます。

<学生>
「こういった、おいしい魚があるっていうことを色んな人に知ってもらいたいと思いますし、おいしい魚を食べてもらって、魚好きになってもらいたいなと思います」
「漁師さんがおっしゃっていた、この資源管理みたいな話とかもすごい深いなって思ったし、食べた魚も未来につなげていかないとなっていうのはすごく感じました」

地元の漁師たちにとっても刺激になっています。

<城ヶ崎富戸定置網 日吉直人代表>
「魚を見て彼、彼女たちはもう目が輝いていましたよね。あれを見ると僕も励まされるかな」

<漁師 梶原真さん>
「これから社会に出る人が水産のことを頭の片隅にでも思っていてくれるのは心強いですね」

<Chefs for the Blue 佐々木ひろこ代表>
「日本人が足元の宝物をなんか失いかけているような気がして、これをちゃんと守っていくっていうことがすごく大事なんだなっていう風に思っています」

今回の合宿を企画したシェフたちは、水産庁長官に提言書を提出するなど、日本の水産資源を守ろうと取り組んでいます。学生たちによる8月の期間限定のレストランオープンに向けて活動は続きます。

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