捜査情報など職務上知り得た秘密を漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反の罪で鹿児島県警の元巡査長が起訴された事件を巡り、捜索を受けたウェブメディア(福岡市)の60代男性記者が、違法な差し押さえだったとして県警に苦情申出書を13日送付した。代理人弁護士が明らかにした。令状の提示がなく、強制捜査の必要性はなかったなどとしている。
苦情申出書では、県警が押収したパソコンを男性に返還する際、内部文書だという理由でハードディスク内に保存していたデータを同意なく消去したという。
男性が取材の過程で入手したとされる「告訴・告発事件処理簿一覧表」について、男性は一度県警に任意提出を申し出たが県警は拒否した経緯があり、その後に差し押さえられたのは違法だと主張。「強制捜査の必要性はなく、令状を発付した裁判所の判断も誤っていた」と訴えている。
捜査員が男性に令状を閲読させないままスマートフォンやパソコンを押収したことも問題視し、取材源秘匿の自由を侵害する処分だったと主張している。
県警は「個人情報保護の観点から、授受の有無について回答を差し控える」としている。樋口翔馬弁護士は「県警の不当な捜査にさらされた。報道機関に家宅捜索が入ること自体が異常事態だ」と話している。