蓮舫氏「今は残念ながら知事がトップダウン的に決めている」 都知事選で私見 自身は「ボトムアップ」強調

日本外国特派員協会で記者会見を行った蓮舫参院議員【写真:ENCOUNT編集部】

「この夏の結果次第で約束するのは、私自身が疑われることのないよう、政治資金パーティーは行いません」

東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に無所属で立候補する蓮舫参院議員が14日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を行った。今回の都知事選を「夏の戦い」と位置付け、現在の都政に関する批判をまじえながら、自身の考えを世界に向けて発信した。これに対して、現職の小池百合子都知事も出馬を表明しており、“対決”の構図にも注目が集まっている。

蓮舫氏はまず、明治神宮外苑の再開発問題を「争点」に挙げることを強調。「夏の戦いに向けて私が問いたいのは、再開発の在り方です。カーボンニュートラル、地球環境の重大さは深刻さを増しています。そんな東京で10年前に作られた計画で、人口減少していく東京で、大規模な開発が、緑を切るような開発が本当に必要なのかを、私は問いたいと思います。神宮外苑の再開発、私は一度立ち止まるべきだと思っています」と、会見の“第一声”を上げた。

一連の自民党派閥の政治資金問題にも言及し、「今、国会では、政治と金の問題、それを解決すると自民党と公明党が言っている法案の審議が大詰めを迎えています。そもそもの発端は自民党の派閥のパーティーです。私はこの夏の挑戦、その結果、まだ分かりませんけれども、この夏の結果次第で約束するのは、政治と金の問題で私自身が疑われることのないよう、大規模な権力を持っている立場に臨む身として、政治資金パーティーは行いません。信頼される政治を東京都から実践していこうと考えています」と宣言。クリーンな政治を体現していくことを誓った。

質疑応答では、知事を想定しての政策決定の姿勢や政策内容についての質問を巡り、「副知事じゃダメですか」と聞かれる場面があった。蓮舫氏は「副知事じゃダメです」と、自身の“キャッチフレーズ”を援用して即答。そのうえで、「知事でなければいけないと思います。予算の決定権者あるいは予算に対してコミットする、事業についての決定権者、事業の内容に対してもコミットできる。それは知事の絶大なる特権であり、権力の源だと思っています。今は残念ながら知事がトップダウン的に決めているものが目立つんですね。突然発表される。基礎自治体が知らされていない。現場職員も実は知らされていなかったということも多いものですから、私はトップダウンではなく、ボトムアップ。現場の人、専門家の方々、NPOの人たち、さまざまな人たちに入っていただいて議論して、それを政策として挙げて、最終的に知事が決定する。そういう都政をしていきたいと思っています」。現職の政治手法を疑問視するトーンもにじませた。

一方で、具体的な都政の選挙公約・政策案は「来週早々に発表させていただきます。それまでは詳細を最後まで詰めたいと思います」とし、「子育て政策、高等教育無償化、あるいは防災のハード面での整備、こういったこれまで行ってきた、連なってきた行政そのものは、よいものは引き継いでいきます」と話した。

また、会見では、小池知事の学歴に関する報道を巡る質問が飛んだ。蓮舫氏は「学歴のことはぜひジャーナリストの皆様方が頑張って質問をなさっていると思います。その世界について私が何か言うことはないと思いますが、ご本人がご説明するに尽きると思っています」と簡潔に述べた。

さらに、今回の選挙戦が「女性の一騎打ち」の文脈で語られることについて、「今回メディアでたくさん取り扱っていただきありがたいのですが、なぜか見出しが『女傑対立』と言われるんですね。男性同士の選挙でそんなことを言われますか? まだ日本のジェンダーは道半ばだと思っています。ぜひジェンダー政策には積極的に関わりたいと思います」と、自身の見解を示した。

蓮舫氏は立憲民主党の参院議員を務めているが、都知事選に向けてすでに離党届を提出している。

今回の都知事選では、広島・安芸高田市の前市長・石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏ら40人以上が立候補を表明している。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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