【阪神】佐藤輝明まだアーチ3本…昇格後も苦境続き 重くのしかかる岡田監督の開幕前〝予言〟

ソフトバンクとの初戦、最後の打者になってしまった阪神・佐藤輝明

阪神は14日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)に0―2で完敗。今季10度目の完封負けを喫し首位・広島とのゲーム差は3まで開いた。虎の悩める規格外砲・佐藤輝明内野手(25)は前日13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に続き、2戦連続のスタメン落ち。7日の一軍復帰以降も、20打数3安打と低空飛行から抜け出せぬままの日々が続く。開幕前に岡田彰布監督(66)が期待を込めてコメントした〝ある予言〟も、今となっては皮肉めいた響きを帯びてくるようになってしまった。

最後の最後まで温存しておいた〝とっておきの切り札〟なのか。それとも、糸原、前川に続く〝序列3番目扱いの左の代打〟にすぎないのか。真意は指揮官のみぞ知るところだが、この日最後に打者として名前をコールされたのは虎の背番号8だった。

2点ビハインドの9回二死一塁。一発さえ出れば同点に追いつくシチュエーションだっただけに、左翼席を埋めつくした博多の虎党たちのボルテージは1段階も2段階も上がった。だが、マウンド上に仁王立ちしていたのはパ最強守護神のオスナ。変化球2つであっさりとカウント0―2まで追い込まれると、最後は甘く入った直球を中途半端に空振りし、セ4位となる今季54個目の三振。歓声とタメ息が交錯する中、試合は決着した。

ゲームは伊藤将とモイネロによるハイレベルな投手戦。鷹の伏兵・広瀬による決勝の1号2ランは、こう着した状況を打開するホームランの重要性を阪神サイドにも強く印象付けた。入団から3年連続で20本塁打をマークしてきた佐藤輝だが、現在のアーチ数はわずかに3。4月21日の中日戦(甲子園)以降、2か月近くも自身の代名詞である豪快な一撃から見放されてしまっている。

順調な調整を積み重ねているとみられていた今年2月の春季キャンプ中、佐藤輝について問われた岡田監督は「今年が一番、これから先の野球人生の中で大事な1年になるかもな。カーンっていってしまうか、ずっとホームラン20本くらいの選手で終わってしまう選手になってしまうかな」と言及。その言葉の裏には、間もなくやってくるであろう本格的な開花と飛躍への強い期待が込められていた。だからこそ出場41試合で打率2割1厘、17打点の数字にとどまっている現状がもどかしい。

この日は阪神を除くセ全5球団が勝利したため、3位・巨人とは0・5ゲーム差、4位・DeNAにも1ゲーム差にまで詰められた。Bクラス転落まで現実味を帯びてきた今だからこそ、規格外のポテンシャルを秘めた長距離砲の復活劇に期待したいところだが、起爆剤としての役割はまだ果たせていない。

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