なでしこジャパンがパリ五輪代表メンバー発表 史上初の「10代選手2人選出」でメダル獲得の勝算

ニュージーランド戦で存在感を見せた古賀(C)共同通信社

JFA(日本サッカー協会)は14日、パリ五輪に挑むサッカーの日本女子代表「なでしこジャパン」の本大会登録選手18人を発表した。

2011年ドイツW杯優勝メンバーでロンドン、東京大会に続いて3度目の選出となったDF熊谷紗希(33=ローマ/イタリア)、大黒柱のMF長谷川唯(27=マンチェスター・シティ/英)、現代表最多36得点のFW田中美南(30=神戸)、右SBと右WBをこなすDF清水梨紗(27=ウエストハム/英)といった主力が順当に選ばれる中、「10代の若手選手2人」が代表入りした。

これまで1996年アトランタ五輪のFW澤穂希(17=読売ベレーザ、年齢と所属は当時)、2012年ロンドン五輪のFW岩渕真奈(19=日テレ・ベレーザ)ら計4人の10代選手が檜舞台でプレーしてきたが、2人が選ばれたのは史上初。

2006年1月6日生まれの18歳DF古賀塔子(フェイエノールト/オランダ)、2005年5月7日生まれの19歳MF谷川萌々子(ローゼンゴード/スウェーデン)である。

池田太監督は、10代の若手選手を抜擢した理由をこう説明した。

「古賀は(トレーニングパートナーとして帯同した)2023年W杯以降、成長するために海外クラブに所属。試合でディフェンスの強さ、スピード、ビルドアップなど良さが見えてきた」

「谷川には(攻撃の)爆発力というか、パワーというか、そういった部分に期待している」

そして「この2人以外にも、特長を持った選手はいると思いますが、年齢に関係なく、しっかりとした武器を持っている選手と判断したのでメンバーに入りました」と結んだ。

■現時点でのベストメンバー

初代なでしこ専任監督の評論家・鈴木良平氏(元ブンデスリーガ1部ヘッドコーチ)が言う。

「代表監督はチーム力アップという大前提を念頭に置きながら、常に新戦力の発掘に腐心し、世代交代を進めていかなければならない。しかし、世代交代に関していえば、W杯や五輪終了後というのが定石。五輪という注目度の高い世界大会に向けて若手を抜擢するのはいかがなものか? という声もあるだろうが、DF古賀は2022年のU17女子W杯に出場し、オランダの強豪クラブの一員として日々、欧州でもまれている。

谷川もU17女子W杯で世界を経験し、ドイツの名門バイエルン・ミュンヘン(現在は期限付き移籍中)に移籍。2023年12月のブラジル代表戦では高校生ながら代表に初召集された。2人とも<先を見据えて五輪という大舞台を経験させよう>という意味合いの選出ではなく、あくまで現時点のベストメンバーを構成するーーという観点から選ばれた。パリでの活躍が十分に期待できます」

10代ではないが、代表22試合5得点のFW藤野あおば(東京Vベレーザ)、直近のテストマッチ(6月3日・ニュージーランド戦)で2ゴールを決めたFW浜野まいか(チェルシー/英)の「20歳コンビ」の存在も、池田なでしこジャパンの「パリに新鋭を従えて乗り込み、結果を出す!」という意気込みが伝わってくる。前出の鈴木氏がこう言う。

「ニュージーランド戦の浜野は0ー1で迎えた後半から出場。中盤の要であるMF長谷川と好連係を見せ、2点目は長谷川からの浮き球のFKをうまく収め、右足でゴールに流し込んだもの。得点力の高さが魅力の選手です。その試合でチーム3点目を決めた藤野は、ゴールへの執着心を前面に押し出し、相手ゴールに迫っていくことでチームに勢いをもたらす。20歳の2人も、頼りになる攻撃系の選手としてパリで暴れてくれるはずです」

新鋭4人がゴールという結果を残せばーー。

「自然とメダルが見えてくる。素晴らしいメンバーが揃った」とは、前出の鈴木氏。

なでしこは2年前の東京五輪・準々決勝でスウェーデンに完敗して姿を消したが、パリでは期待していいかもしれない。

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