鹿児島県警が「違法差し押さえ」否定 福岡のウェブメディアに反論「捜査は適正。令状を提示、同意得てデータ削除」

〈資料写真〉鹿児島県警

 捜査情報など職務上知り得た秘密を漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反の罪で鹿児島県警の元巡査長が起訴された事件を巡り、捜索を受けた福岡市のウェブメディアが違法な差し押さえがあったなどと主張している問題で、県警は14日、「捜査は適正で任意性も確保している」と反論した。同日までの報道を受けてコメントした。

 県警は、同事件の対応について「漏えい先などへの家宅捜索差し押さえを行う際は、裁判官の発する令状を明確に相手方に提示している」とした上で「犯罪被害者の実名など個人情報を含め、漏えいした各資料のデータ削除が必要な場合は、相手側に説明して同意を得ている」などとした。

 ウェブメディア側は13日付で「県警に苦情申出書を送った」と明らかにしているが、県警は「申し出があったかどうかは対外的に言えない」としている。

 申出書によると、県警は押収したパソコンを男性に返す際、内部文書だという理由でハードディスク内に保存していたデータの一部を同意なく消したという。

 ウェブメディア代表の60代男性記者が取材の過程で入手したとされる「告訴・告発事件処理簿一覧表」について、男性は一度県警に任意提出を申し出たが県警は拒否した経緯があり、その後に差し押さえられたのは違法だと主張している。

 捜査員が男性に令状を閲読させないままスマートフォンやパソコンを押収したことも問題視し、取材源秘匿の自由を侵害する処分だったと指摘している。

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