企業の社長サンたちが日曜朝に見ているTBS「がっちりマンデー」ダントツ視聴率のヒミツ

加藤浩次(C)日刊ゲンダイ

日曜朝、橋下徹がどんなに息巻いても、中山秀征がさんざんおちゃらけても、まったく歯が立たない絶対人気の長寿番組が、TBS系「がっちりマンデー!!」(7時30分)である。

アベノミクス・キシダ新資本主義でボロボロの日本経済にあって、卓抜な発想と技術力で“がっちり”稼いでいる企業、それを引っ張る社長、さらに社員の確かな仕事ぶりを取り上げていく。大企業も町工場も登場し、社長や担当者がスタジオ出演もする。

たとえば、埼玉特集では、クルマのワイパーゴムで世界シェアトップのメーカー、チョコレートやマヨネーズ、歯磨き粉などの材料を混ぜ合わせる攪拌機で国内1位のメーカーなど、知られざる優良企業を紹介。「最新貨物ビジネスを徹底取材」編では、ANAが4月から昼間の貨物料金を10分の1に下げた狙いと成算、JR貨物が東京のど真ん中(品川区)に全長3.6キロの日本一巨大な駅を置いている秘密を解説した。

いちいちバーコードを読ませる手間を省き、購入した商品を持ったまま通過・支払いができるファミリーマートの無人決済レジ、逆に高齢者や子ども連れが慌てずに支払いができるように、対面のゆっくりレジで客数を伸ばしている福井のスーパーなど、逆転の発想で業績を上げている小売りの現場リポートもあった。

■出世したけりゃ見逃すな?

「NHK『探検ファクトリー』やテレビ東京系『ワールドビジネスサテライト』のトレンドたまごなどもそうですが、ビジネスのヒントや仕事に役立つ情報がありそうだということで見られています。属性別の視聴人数ランキングでは、『役員・管理職』や『投資意欲の高い人』で高く、世の社長サンたちは日曜の朝、コーヒーを飲みながらこの番組を見てるんでしょうね。ウチの会社を取り上げてほしいという売り込みも多いようです」(大手広告代理店テレビ担当)

日曜の放送なのに、なぜサンデーでなくマンデーなのか。番組サブタイトル「日曜に勉強!月曜から実践!」の通り、明日からすぐに役立つ情報満載と言いたいのだ。

世帯視聴率は10%前後で、同時間帯ダントツ。リアルタイム視聴率を見ると、7時30分の番組スタート直後からグイグイ上昇して、「シューイチ」(日本テレビ系)も「日曜報道ザ・プライム」(フジテレビ系)も置いてきぼりにされてしまう。

いや、社長サンだけでなく、安さビジネス、ラーメン・焼き肉ビジネス、校内ビジネスなどがテーマの時は、コア層(13~45歳)の視聴もアップする。お堅い経済・ビジネス情報ではなく、暮らしに役立って、お金も得する生活情報バラエティーというつくりが若い層にもウケているのだろう。日曜朝くらいはゆっくり寝たいというなら、録画もTVerもある。

がん治療中の準レギュラーゲスト森永卓郎(経済アナリスト)が復活して、毎週、少しずつふっくらしていくのを見るのはうれしい。

(コラムニスト・海原かみな)

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