患者の衣服直して20年 医王病院・被服ボランティア 「長く活動を」病院から感謝状

衣服の繕い作業を行うメンバー=金沢市岩出町の医王病院

 国立病院機構医王病院(金沢市岩出町)で、患者の衣服などを繕う被服ボランティア「医王のひだまり」が20年にわたり活動を続けている。かぶって着るのが難しい患者のために衣服を前開きに縫い直したり、院内のイベント用に体に掛けるだけの華やかなドレスを製作したりし、患者や家族に笑顔を広げてきた。節目を記念して病院から感謝状が贈られ、メンバーは今後の活動に意欲を新たにしている。

 先月31日、病院内の「被服室」で、「医王のひだまり」の5月の活動が行われた。主な作業は病院側から依頼された繕い物で、60~80代のメンバー7人が肌着を前開きに縫い直す作業や、ズボンの丈詰めなどに取り組んだ。

 これまで車いすのカバーや患者の手を保護するミトン、よだれかけなど、病院側の要望に応じて多種多様な繕い物をしてきた。代表の上田陽子さん(83)は「ちょっと身に着ける物でも、明るい気持ちになってもらえたらうれしい」と笑顔で話す。誰かの役に立てているという喜びが、活動継続の原動力だ。

 活動は2003年、上田さんが中心となって旧国立金沢若松病院で始め、のちに同病院と合併した医王病院に引き継がれた。当初は手本となる活動が県内になく、名古屋から来たNPO法人の指導を受け、ミシン1台で始めたという。

 和気あいあいと明るく活動する様子から、13年ごろに病院側がグループを「医王のひだまり」と名付けた。コロナ禍の最中には活動休止を余儀なくされたが、感染が収まって病院から許可が下りると、メンバーは「みんなの顔が見たい」とすぐに活動を再開した。

 医王病院の石田千穂院長(57)は「患者さんやご家族からも感謝の言葉をいただいている。これからも元気に長く活動してほしい」とねぎらった。感謝状と共に、職員から感謝をつづった色紙も贈られた上田さんは「立派な被服室もつくってもらったし、メンバーには長く活動を続けてほしい」と喜び、新たなメンバーを募っていきたいとした。

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