交流戦勝ち越しの広島 玉村にも今季初勝利 先輩からの〝引き継ぎ〟も活用 3連勝で貯金最多8に貢献

 6回まで得点を許さず、笑顔を浮かべる玉村(撮影・佐藤厚)

 「楽天3-4広島」(15日、楽天モバイルパーク)

 勢いが止まらない!広島が2017年以来7年ぶりの交流戦勝ち越しを決めた。先発・玉村昇悟投手(23)は七回途中3失点で、うれしい今季初勝利を挙げた。チームは3連勝で4カード連続の勝ち越し。貯金は今季最多を更新する「8」となり、4位に転落した阪神に代わって2位に浮上した巨人には3.5ゲーム差をつけている。16日の一戦も勝って、最高の形でパ・リーグとの戦いを締めくくる。

 ゲームセットが告げられると、玉村は仲間とハイタッチを交わしながら白い歯をこぼした。七回を投げ切れなかった反省を抱きつつ、今季4度目の先発でつかんだ待望の白星がうれしかった。「勝ててホッとしています」。直近2試合はいずれも自責点0で負け投手。かみ合わない流れに終止符を打ち、プロ初登板となった仙台の地で勝利を手にした。

 味方が先制した直後の二回は無死一、二塁のピンチを招くも強打者・浅村を中飛。1死から渡辺佳を投ゴロ併殺に仕留めた。「先に点をやりたくなかった。何とか低めに集めて丁寧にいきたいなと思っていた」。交流戦首位に立つ好調な楽天打線に対し、細心の注意を払いながらアウトを積み上げていった。

 140キロ台の直球と100キロ台のカーブ、スライダーで投球を組み立てて「意外と使えた」と振り返るチェンジアップが効果的になった。

 七回無失点なら交流戦の規定投球回に到達し、同期間での防御率が0.00となっていた。だが3連打などで3点を失い、イニング途中で降板。「できれば七回投げ切りたかった。次への経験として生かしていきたい」。大瀬良に続く交流戦防御率0.00は達成できなかったが、及第点の内容で役目を果たした。

 大瀬良が投げた翌日に自身が先発するのは今季4試合目。この日も朝、先輩からラインで連絡をもらった。前日に相手打線と対戦した右腕からの助言は、何より貴重なものになる。「毎回、大地さんが(相手)打線をしずめるというか、抑えてくれる。それも参考にしながら(自分が投球)できているのはすごくいいかなと思う」。先輩からの“引き継ぎ”も最大限に活用して好投につなげた。

 新井監督も「今日もしっかりゲームをつくってくれて、ナイスピッチング」と褒め上げた。チームは7年ぶりの交流戦勝ち越しが決定。22年までは開催3季連続最下位、4季連続負け越しを味わったが、昨年は勝率5割で終え、今年は貯金をつくった。苦手意識のあったパ・リーグとの戦いはもはや過去の話だ。

 「自分たちのチームは戦えると思っているので。今日で勝ち越し?それはもちろんいいこと」とうなずき「(交流戦)首位で勢いのあるチームに勝ち越せたというのは自信にしていいと思う。また明日ラスト、気を引き締めて戦いたい」と指揮官。生まれた好循環は手放さない。チーム全員で連勝街道を突き進む。

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