群馬・大泉町を舞台に短編映画撮影 カンヌ国際映画祭などに出品

町内外からエキストラ200人を集めて実施した短編映画「NOVA」の撮影=大泉町・ハナミズキ通り

 群馬県大泉町を舞台にした短編映画「NOVA(ノヴァ)」の撮影が15日、同町のハナミズキ通りで行われ、報道陣に公開された。脚本と監督は、映画「シン・ウルトラマン」で助監督を務めた寺田悠真さん(30)。秋ごろに完成を予定し、カンヌ国際映画祭など国内外20の映画祭に出品した後、来年の公開を目指している。

 映画の主役は日系ブラジル人の女性、ジェシカとその父、カルロス。ジェシカは人工知能(AI)に、カルロスは若いアジア移民労働者に突然仕事を奪われ、社会の変化に取り残されつつも葛藤しながら生きる姿が描かれる。

 同町でのロケは13~16日。15日は「AI反対」のカードを掲げてデモをする群集のシーンを撮影し、町内外から集めた200人のエキストラが参加した。

 ジェシカを演じる西村カロリナさん(25)は同町出身。撮影後、「通学路での撮影もあって、子どもの時に見ていた風景とはまた違って見えた」と笑顔で話した。カルロス役は作中と同じ境遇を持つ同町在住の北原ジョセ・ルイスさん(65)。2人とも本人が日系ブラジル人で、演技は初めてという。

 女優の山田キヌヲさんは、AI反対のデモに参加する三浦明美役として出演。デモに違和感を覚えるジェシカと対峙する存在として描かれる。役については、「AIに職を奪われ声をあげるしかない存在。必死に生きてきた人だと思う」と話していた。

 初監督作となる寺田さんは昨年8月から同町へ足を運び、役場への取材や住民との交流を通して構想を練ってきた。多くの外国人が共生する町は「未来の日本を映している」と考える。その上で、「言葉が違う相手とも、AIとも、きっと共生していける。難しいこともあるけど、その未来は悪くないと伝えられたらいい」と話す。

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