学校が静まり返る日?教員の休養と生徒の自主性を両立『ひがしチャレンジデー』教員の働き方改革(2) 長崎

教職員の働き方改革についてです。長時間勤務が常態化している教員に、新たな取り組みが長崎東中学・高校で始まりました。年間で数日《授業も部活動もなく》教員はリフレッシュし、生徒は自主的に活動する日を設けています。
働き方改革と生徒の自主性向上を目指すこの取り組み、その効果とは?長崎県内で注目されるイノベーションハイスクールの実態に迫ります。

長崎県内の《教員の時間外勤務》の実態を示すデータでは、月に《45時間以上》時間外勤務をした教員の割合は、中学校で30%。県立学校で17%となっており、年々、減少傾向にはあるものの一般企業に比べると、まだまだ多いのが現状です。

授業なし部活なし 土日よりも学校が静か

教員に休養の機会を与えるとともに、生徒たちには主体的に学ぶ姿勢を身につけてもらおうと長崎東中学・高校では、授業なし部活なしの「ひがしチャレンジデー」という取り組みを始めています。

今月11日(火)、ひがしチャレンジデーの朝。本来であれば生徒たちがすでに登校し、授業が始まっている時間ですが、教室には生徒も先生もいません。

長崎東中学・高校 立木 貴文 校長:
「ほとんどの生徒は学校以外の場所でそれぞれに活動してるんじゃないかなと思っています。土日でも結構、部活動で子供たちが来ていますので、そういった意味では土日よりも静かかもしれません」

今年度、長崎東中学では年に6回、東高では年に9回、チャレンジデーが設定されています。

チャレンジデーの日は、授業がなく、部活動も原則禁止です。

立木校長:
「子どもたちも日頃自分ができないことに、この日を使ってチャレンジするということですし教職員にしてみれば教職員もなかなか普段こう。休みが取れない中で、この日を使ってリフレッシュして少し充電して、そして元気な形で。また子どもたちに向き合ってもらってば」

チャレンジデーの目的の1つが、教員の《休養・リフレッシュ》です。長崎東中学・高校の教員77人のうちこの日は、3分の2の50人が休暇を取得しました。

ある教員は子どものスポーツ観戦 生徒は環境を変えて勉強

田嶋 修さん「前!前~」

長崎東中学の田嶋副校長は、この日、休暇を取得し、中学2年生の次男が出場する中総体の陸上競技の応援に駆けつけました。

長崎東中学 田嶋 修副校長:
「代休が合えば見に来れるんですけど、なかなか見に来れないですね。ほとんど見に来たことないです。昨日まで仕事をして、今朝早く起きて1日体を動かしたんで、本当はなんかクタクタな体なんですけど、今日は子供のレースを見て、また明日から頑張ろうかなと。いいリフレッシュだったかなと思ってます」

ひがしチャレンジデーのもう一つの目的それは「生徒たちの自主性を伸ばす」ことです。生徒たちは、何をやって1日を過ごすのか自分で考えて、決めなければなりません。

渡部 光さん(長崎東高校 3年):
「気分転換に(学校以外の)他のところでも勉強したいなと思って今日は県庁に来ました」

登校して、教室で自学を行うこともできますが、何を勉強するのかはそれぞれの判断に任されています。

頭島 琴音さん(長崎東高校 3年):
「家であんまり勉強を集中できなくて。なので家じゃない場所で勉強しようってなった時に、図書館とかカフェとかも考えたんですけど、学校を選びました。土日にあった模試の復習に時間をあてたいなって思ってて。これを機にしっかり復習をしていきたいなと思います」

「将来こうしたい」につながる・確認できる日

勉強以外のことに、自宅でチャレンジをした生徒もいます。東高1年の渡邉丈氣さんがこの日、取り組んだのは『あじさいの花の色は、どうやって決まるのか?』を調べる実験でした。

渡邉丈氣さん(長崎東高校 1年):
「中学の時は、休日は実験をしようっていうのが、小学校の頃は多少はしてたんですけど、中学生になって全然してなくて、チャレンジデーができたんでやってみようってことで今実験をし始めてます」

高校の部活では理学部に所属し、将来は薬の開発に携わりたいと考えている渡邉さん。これからもチャレンジデーは、自分の将来につながることのために使っていきたいと考えています。

渡邉さん:
「授業でもない、休日でもないっていう日が《1日の過ごし方》をどうすればいいかを考えるきっかけにもなるんで。休日はこうしてみようみたいな予定の立て方がわかるし。実験みたいなのを通して『自分でこういうことがしたいんじゃないか』っていう確認もできるので、これからも設けてほしいなと思っています」

生徒・教師がそれぞれ自分で計画を立てその計画に基づいて1日を過ごす「ひがしチャレンジデー」学校では今年1年間は「試行期間」として様々な検証を行いながら、よりよいものに改善していきたいとしています。

県教育委員会では、今日紹介した「ひがしチャレンジデー」のような生徒の自主性を高める学校づくりと教員の働き方改革を推進している4つの県立高校を「イノベーションハイスクール」に指定し、その取り組みを支援しています。

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