長崎県勢12年ぶり栄冠 小谷(純心女)女子100制す 全九州高校大会

【陸上女子100メートル決勝】優勝した小谷(純心女、左)と5位の小鉢(島原)がインターハイ出場を決めて喜ぶ=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 全九州高校大会は15日、各地で16競技が行われ、陸上インターハイ北九州地区予選(各種目6位以内、混成は3位以内がインターハイ確定)の女子100メートルは小谷凛(純心女)が12秒11で制した。この種目の県勢の優勝は12年ぶり。
 陸上勢はこのほか、男子八種競技の樫山鳴(長崎日大)が5664点の好記録で優勝。男子ハンマー投げは村島悠斗(同)、本多武蔵(同)が1、2位を独占した。
 団体は柔道男子の長崎日大が2連覇こそ逃したものの、準Vと健闘。バスケットボール勢は女子で県2位の島原中央が4強入りを果たした。ラグビーは1位ブロックの長崎北陽台、2位ブロックの長崎北がそろって準決勝進出。サッカー男子の国見は快勝発進した。
 16日は各地で陸上、ローイング、レスリング、サッカー、ラグビーなど16競技を実施する。

◎バトンミスの涙が笑顔に
 陸上女子100メートル決勝。11秒台のタイムを持つ選手が複数いる中、予想を覆してトップで駆け抜けたのは小谷(純心女)だった。競技第1日の14日、最も大事にしてきた400メートルリレー予選で自らがバトンを落としてしまい、敗退。堪え難い悔しさを、この1本にぶつけた。
 最内2レーンから飛び出し、後半にもう一段階伸びた。あごを引いて、長く加速するイメージ。山本監督が「バネを使った、自分の良さを引き出す走りができていた」と称賛する快走で、県3位から一気に北九州最速の座に上り詰めた。12秒11。この種目で長崎県勢の優勝は12年ぶりだ。
 バトンミスの悪夢を拭い去り、力に変えた。400メートルリレーは昨年、県高校記録を樹立した本命種目。自身は昨年に引き続いて3走を任された。アクシデントが起きたのはバトンを受け取った直後。2走と接触し、バトンが右手から弾き飛ばされてしまった。思わぬ形で絶たれたインターハイへの道。「完全に自分のせい」。涙が止まらなかった。
 「勝たなくていい。自分の一番の力を出してきなさい」。朝、山本監督に声をかけられて、少しだけ気が楽になった。予選、準決勝を組1着で通過すると、気持ちも乗ってきた。決勝も1番を譲らなかった。
 順位が確定すると、5位に入った小鉢(島原)と抱き合って喜んだ。「みんなの分も頑張らなきゃと思って走った」。ようやく涙が笑顔に変わった。

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