動物園の名残はこれからも…再開発されるイオン鴨池の4つの銅像、「象徴」として保存へ 馬にまたがった「少年」も喜ぶ

イオン鹿児島鴨池店敷地内にある動物の銅像=鹿児島市鴨池2丁目

 イオン鹿児島鴨池店(鹿児島市鴨池2丁目)の郡元電停側入り口前に、子どもがまたがっている馬や、熊などの銅像がある。8月末閉店に伴い、動物たちの行方を気にする声が南日本新聞に寄せられた。再開発するイオングループは取材に「鴨池動物園跡地の象徴。敷地内に残す方向で検討中」としている。

 同グループによると、前身のダイエー鹿児島ショッパーズ・プラザが1975年に開業した際、鴨池動物園の跡地だったことにちなみ設置した。

 銅像は全部で4点。ヤギやロバのような動物もいる。背中など黒光りしている部分もあり、長く親しまれてきたことが伝わる。

 和菓子店・とら屋(鴨池1丁目)の3代目店主、中野博文さん(59)は小学生の頃、友人5、6人で銅像にまたがったりして遊んでいた。「店内に行く前のウオーミングアップだった」と振り返る。

 銅像の作者は大阪市出身の彫刻家、故河合隆三さん。35年生まれ、東京芸術大学彫刻科卒で、大阪芸大の教授を務めた。全国の商業施設や公園のほか、兵庫や福岡県のダイエー系列店舗にも銅像や石彫を制作した。95年からは奈良市にアトリエを構え、2019年に大阪府で最後の個展を開催。今年2月、老衰で亡くなった。

 「馬にまたがる少年のモデルは自分だと思う」と話すのは、長男の止揚(しよう)さん(59)=大阪市住吉区。隆三さんは以前から、一般の人に作品が親しまれることを喜んでいたという。「父は死去したが、作品は誰かの心に生きているのがうれしい。機会があれば、ぜひ見に行きたい」と話した。

銅像周辺の地面にある河合隆三さんの名前が記されたプレート=鹿児島市鴨池2丁目のイオン鹿児島鴨池店敷地
イオン鹿児島鴨池店敷地にある動物の銅像=鹿児島市鴨池2丁目

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