シャキシャキ食感がたまらない…砂丘ラッキョウのおいしさに魅せられた記者が栽培に挑戦した 苦戦8カ月、汗と涙の収穫体験記 最後の最後に難敵が…

らっきょう村のメンバーに教わり引き抜いたラッキョウ=1日、南さつま市加世田高橋

 鮮やかな白色とシャキシャキした食感で人気の高い鹿児島県南さつま市特産の砂丘ラッキョウ。おいしさに魅了され自分で育ててみたくなった。昨秋、同市のオーナー制農園「ガンバリーナらっきょう村」に応募し植え付けた。出動は月1回程度の9回とあり楽勝と思ったが、慣れない作業で毎回苦戦。最大の難所は意外にも8カ月後の収穫にあった。

 種4キロを受け取った昨年9月末、1区画20平方メートル(材料込み1万1000円)を借りて植えた。15センチ間隔で後から収穫しやすいよう斜めに差す。同村の林隆之さん(58)、和美さん(59)夫妻から教わったのに畝を何度も踏み崩してしまった。

 10月末、葉が伸び紫色の花が咲いていた。何もしていないのにすごい。汗だくになり雑草を抜いた。今年1月初旬、畑を照らす夕日に癒やされた。2月、取材が重なり除草や追肥に行けない。こんな時は作業委託(600円)。感謝した。

 グングン育ち6月1日に収穫。暑さでバテてしまい1時間半もかかった。次は葉と根を切る。高倉正文村長(76)、上舞健治事務局長(72)から「愛情をかけた分おいしくなる。粒も大きく見事」とお褒めの言葉。ところが一人で作業していると知りけげんな顔。「暗くなるまで3時間半。間に合わないから葉だけ切れば」と助言してくれた。

 すぐ終わるだろうとハサミで切り始めたが甘かった。握力が徐々になくなる。手にはマメが2個もでき半泣き。半分残し時間切れとなった。持ち帰り、翌日も作業。2日で計約7時間切り続け、50キロの収穫となった。体中が筋肉痛で情けない。

 生をサラダにしたり、かき揚げにしたりして食べた。自分で育てただけに格別だ。11日には1週間たった甘酢漬けを味見。独特の香りが鼻腔(びくう)を駆け抜けた。次のオーナー募集は始まっている。ラッキョウ効果で倍増された食欲の影響か、農作業の大変さをすっかり忘れ、また申し込んでしまった。

種植えの手本を見せるらっきょう村の林隆之さん=2023年9月27日、南さつま市加世田高橋
紫色の小さな花を咲かすラッキョウ=2023年12月2日、南さつま市加世田高橋

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