高校生が牛の目利き競う 「家畜審査競技」 まっすぐな眼差しの先に畜産の未来

高校生による牛の目利きを競う大会があるのをご存じですか?
牛の体をじっくり見て、家畜としてどの牛が優れているか見極める大会です。
いい牛のポイントとは?
大会に挑んだ高校生たちを取材しました。

並んだ牛たちをじっくり観察する高校生たち。
挑むのは、『家畜審査競技』。
家畜として、より高い能力の牛を見極めます。
参加するのは島根県内5つの高校で畜産を学ぶ生徒たちです。

「見ないといけないところが、肩・背中・腰」

大会を5日後に控えたこの日。
島根県出雲市の出雲農林高校動物科学科では、本番さながら、模擬審査の授業が行われていました。

高校生の家畜審査競技は、乳用牛と肉用牛の個人戦と、団体戦(肉用牛の部)がありますが、今年は、乳用牛の個人戦のみ、全国大会が開催されます。

出雲農林高校、乳用牛の部には45人が出場します。

出雲農林高校動物科学科3年 金折真菜さん
「やっぱり、乳器が配点が高いので、きょう見た牛も、あまり(2頭の)変化がなかったので、ちょっと迷った」

乳牛の審査のポイントは4つ。
・体貌と骨格・肢蹄・乳用強健性・乳器

乳量が多く、健康な牛がどれかを見極めるため、体全体や骨格、足の付き方、乳房の形などを細かく観察します。

出雲農林高校動物科学科 安食淳一先生
「自分のところで乳牛を育てる場合、この牛に対して、『体型的に乏しい。こういった牛を交配した方がいい』というかたちで、より優れた乳牛を生産する目を養えることにつながる」

乳用牛の部に出場するひとり、動物科学科2年の黒田侑璃香さん。
黒田さん、実は、去年、1年生ながら優勝していて、今年、2連覇がかかっています。

出雲農林高校動物科学科2年 黒田侑璃香さん
「授業で学んだことを活かしながら、県大会で最優秀賞とって、また全国大会に出場できたらいい」

そして、今週火曜日。
迎えた県大会には、個人戦、団体戦に県内5つの高校から約190人が参加。
黒田さんが参加し、全国大会出場がかかる乳用牛の部には、約100人がエントリーしました。

審査の時間は20分。
その間に、4頭の牛を比較し、トータルでみて、そして、4つのポイントごとに、
どの牛が優れているか見極めます。

競技の最中は、私語厳禁。
プロの酪農家さながら、黙々と牛を見極めていきます。

2連覇のかかる黒田さんも、厳しく牛を見つめます。

ちなみに…
4頭の中で、1番いい乳牛はこちら。
特に乳房の、位置・幅が優れているということですが…
2番の牛と比べても、素人には、見分けがつきません。

そして、牛を見比べること20分。

「止め」

競技終了。果たして、結果は。

「(乳用牛の部)最優秀賞を発表します。出雲農林高校・清水花恋さんです。」

残念ながら、黒田さん、2連覇はならず。
優勝したのは先輩でした。

乳用牛の部最優秀賞 出雲農林高校動物科学科3年 清水花恋さん
「まさか取ると思ってなくて、びっくりしたけど嬉しかった」

出雲農林高校動物科学科2年 黒田侑璃香さん
「どっちを順位を上げたらいいのか、順位付けが難しかった」
「来年は、最優秀賞を目指して、また頑張りたいと思う」

牛を見る目を競う高校生たちの熱い戦い。
日々、勉強に励む彼らの牛に向けるまっすぐな眼差しのその先に、島根の畜産の明るい未来が広がっています。

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