ルワンダ内戦から30年 生き延びた女性が講演 「平和を手放さない使命ある」 長崎で追悼行事

来場した被爆者や若者と一緒に、ルワンダに思いを寄せて歌うマリールイズさん(手前)とムカシネ大使(右)=長崎市、長崎原爆資料館

 ルワンダ内戦から今年で30年となるのに合わせた追悼行事が17日、長崎市内であった。大虐殺と原爆という非人道的な惨禍をそれぞれ経験し、その記憶をつないできたルワンダと長崎。内戦を生き延びた後、同国から日本に帰化した永遠瑠(とわり)マリールイズさん(58)=福島市在住=が講演し、「生き残った者には平和を絶対に手放さない使命がある。二度と同じ過ちのない世界をみんなでつくろう」と呼びかけた。
 ルワンダ内戦では1994年4月から、多数派フツ人による少数派ツチ人らの虐殺が発生。約80万人ともされる犠牲者が出た。
 マリールイズさんは93年、福島市で洋裁技術を学んだ。帰国して間もなく日本のホームステイ先から電話を受けた。「テレビで見たけど戦争が始まっている。大丈夫?」。この連絡で内戦の激化を初めて知った。
 約1週間、2~6歳のわが子3人と自宅で身を潜めた。「子どもの口を封じてしゃべらないで、笑わないで、遊ばないでと言い続けた」。だが自宅近くにも攻撃が迫り、避難を決意。50キロほど歩いて、隣国の難民キャンプにたどり着いた。単身赴任中だった夫とは再会できたが、連行された兄は行方不明のままという。
 日本語を話せたため、キャンプでは避難民と日本人医師らの通訳に奔走。日本の友人らの協力で、94年12月に一家で再び来日した。日本国籍を取得し、ルワンダの教育を支援する活動を20年余り続けている。講演後、取材に「長崎とルワンダは愛する家族を失ったつらい記憶や、未来に過ちを繰り返さないという思いを共有している」と語った。
 在日大使館のムカシネ・マリー・クレール特命全権大使も来場し「大量虐殺、憎悪、差別がどこで起ころうと反対の声を上げなければならない。共に立ち上がることでのみ、過去の惨禍を二度と繰り返さないことができる」と述べた。
 マリールイズさんが理事長を務めるNPO法人「ルワンダの教育を考える会」(福島市)が、長崎市平野町の長崎原爆資料館で開催。被爆者や高校生ら約200人が来場した。

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