Adobe、サブスク解約が難しすぎ&高額な解約料を隠していたとして米政府が提訴

Image:Mats Wiklund/Shutterstock

米司法省は、Adobeがサブスクリプションの解約を難しくしすぎ、高額な解約料も隠していたとして提訴した。訴状では「重要なプラン条件を分かりやすく開示することなく、デフォルトの最も収益性が高い有料プランに登録することで消費者に損害を与えた」としている。

Adobeはソフトウェアの買い切りからサブスクリプションへいち早く切り替えた先駆けだが、解約の手続きが不満の声が上がっていた。また、無料で解約できるのは最初の2週間だけで、それを超えると日割り料金を請求される。そうした苦情を受けて昨年末、米FTC(米連邦取引委員会)は調査に乗り出していた

司法省は、Adobeが重要な条件を「細かい文字や、オプションのテキストボックスやハイパーリンク」の後ろに「隠している」と主張。それにより、解約時に発生する「数百ドルにもなる」早期解約料を適切に開示していない述べている。

ユーザーが解約しようとすると、複数のウェブページやポップアップを操作する「負担が大きく複雑な」解約手続きを要求。さらに解約を思いとどまらせるような早期解約金が「待ち伏せ」しているとのことだ。

また電話やリアルタイムチャットで解約しようとした場合も、数々の困難が立ちはだかるという。たとえば「通話やチャットを切断され、繋ぎ直すと連絡した理由を再び説明しなければならない」という具合だ。こうした対応は、消費者保護を目的とした連邦法に違反していると訴えている。

訴状で被告とされているのは、Adobe副社長のマニンダー・ソーニー氏と、同社のデジタル・メディア事業トップのデビッド・ワドワニ氏の2人。両幹部は「Adobeの行為や慣行を指示、管理、管理する権限を持ち、実際に関与した」とされている。

FTC消費者保護局のサミュエル・レヴィン局長は「Adobeは早期解約料の隠ぺいや解約のハードルを数々設けることで、ユーザーを1年間のサブスクリプションに閉じ込めた」との声明を発表。「サブスクリプションの契約時にボールを隠し、解約しようとすれb障害物を持ち出す企業に、アメリカ人はうんざりしている」と述べている。

Adobeは2012年、Photoshopやillustrator、InDesignなどの主要ソフトウェアを年額のサブスクリプションに切り替えた。これらはクリエイターにとって必須のツールであり、いかに不利な条件を付けられようと、仕事をするためには契約を続けるほかない。

同社は今月初めに規約を改訂したところ、「自動・手動の両方でお客様のコンテンツにアクセスする可能性がある」等が同社の生成AI「Firefly」を顧客の機密データで訓練すると誤解され、公式ブログで釈明を余儀なくされていた。

そうした炎上騒動や司法省による提訴の根底には、Adobeの提示する条件に従う他ないクリエイターたちの苛立ちが積もり積もっていたことがあるのだろう。

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