【50代からの快眠術】朝までぐっすりと眠れる体になるための8つの「生活習慣」&「食事のコツ」

快眠は日々の習慣の積み重ねによって成り立つもの。食事内容や一日のスケジュール、運動などを見直して、まずはできるところから無理のない範囲で改善していきましょう。すぐに実行できる方法を睡眠専門医の坪田聡さんに教えていただきました。

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スマホのメールチェックやネット検索は、夜ではなく朝の日課に

スマホやパソコンが発するブルーライトを夜浴びると、メラトニンが減少して眠れなくなる。

寝る30分〜1時間前にはスマホから離れ、ストレッチや読書、音楽鑑賞など、リラックスできるスリープセレモニー(入眠儀式)に入ろう。

「夜はダラダラとネット検索や、メール、SNSのやり取りをしてしまいがち。これらは朝の日課にすると、ブルーライトの影響で目が覚め、時間をより有効に使えます」

適度な運動を続けると、朝までぐっすり眠れるようになる

有酸素運動を続けるとセロトニンが分泌され、睡眠の質が改善する。ウォーキングなら1日1万歩が目標。成人の1日の平均歩数は約7000歩で、プラス30分(約3000歩)で達成可能だ。慣れない人は、毎日ではなく週5回でも。

快眠のためにベストな運動時間帯は午後7時~9時。この時間帯に軽い散歩やストレッチをするのもおすすめ。

睡眠に最適な運動量の目安

睡眠に最適な運動量の目安は、⚫︎1日30分以上 ⚫︎週5回以上の有酸素運動。
おすすめは1日30分のウォーキングだ。

ウォーキングのコツ

⚫︎1日1万歩が目標
⚫︎日常生活に30分のウォーキングを加える
⚫︎30分続けて歩けない場合は、10分×3回に分けてもOK
⚫︎エレベーターでなく階段を使うようにするだけでも運動量が増加
⚫︎自分のペースで継続することが大切

靴下をはいたまま眠るのはNG。布団に入るときに脱ぐ

冷え性の女性には、夏場でも「足先が冷えるから、靴下をはいて布団に入る」という人が多い。しかし靴下をはいたまま眠ってしまうと、足からの熱の放散が妨げられて、体内の熱をうまく逃がせなくなってしまう。そのため、睡眠の質が悪くなって寝苦しくなりやすい。

足先の冷えが気になるときは、寝る前の足湯や入浴、または湯たんぽで血行をよくし、靴下は布団に入る前に脱いで眠りにつこう。

すっきり目覚めるために朝日を浴びて、朝食前に白湯を飲む

朝起きたらまずは太陽の光を浴びること。これにより睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が抑制され、幸せホルモンのセロトニンの量が増えて、覚醒モードになる。

朝食を抜く人、コーヒーなどの飲み物だけという人も多いが、体内時計を整えるためにもぜひ食事はとりたい。

「朝食の前には白湯を飲み、体をあたためましょう。そのあと、スムーズに活動を開始できます」

ランチは品数の多い「定食」スタイルにする

午後の眠気を防ぐために、ランチは丼ものやカレーライスなどのワンプレートではなく、炭水化物控えめの定食系がおすすめ。

肉・魚などたんぱく質中心のおかず、サラダや煮物など食物繊維が豊富なおかずをバランスよく時間をかけて食べて。食後の血糖値の上昇がゆるやかになり、激しい眠気を抑えられる。

夕食のおすすめは「冷やしトマト」。 体を冷やす食材が寝つきをよくする

これから夏にかけて、旬のトマトやきゅうりなどの夏野菜を夕食に取り入れるようにしたい。

「これらは体を冷やす食材なので、入浴後の体の深部体温が下がりやすくなり、自然な寝つきをサポートしてくれます」

特にトマトには睡眠の質を高めるメラトニンやGABA(ギャバ)も含まれ、夕食の一品に最適。

夕食後はカフェインを控え、お酒は寝る3時間前までに

覚醒効果が高く、寝つきを悪くするカフェイン飲料は、夜飲むのは厳禁。飲むならカフェインレスで、カルシウムが豊富で気持ちが落ち着くホットミルクなどに。

アルコールは、寝つきはよくするものの、睡眠が浅くなり夜中に目覚める原因になりやすい。適量を守り寝る3時間前までには飲み終えること。

眠りを妨げない飲酒量の目安

⚫︎ビール……小瓶1本
⚫︎ワイン……グラス1杯
⚫︎日本酒……½合

睡眠にいい食べ物を知って、毎日の食事に取り入れる

睡眠の質を食べ物で向上させることもできる。特に快眠のために摂取したいのは、トリプトファン、グリシン、GABAの3つのアミノ酸。

他にもビタミンB12や鉄、カルシウム、メラトニンなどを含む食材を、1日3食バランスよく食べるようにしたい。

よくかむとあごのリズム運動になり、幸せホルモンのセロトニンが増えて快眠につながる。一口20~30回はかんで食べよう。

睡眠の質を高める栄養素

トリプトファン

必須アミノ酸の一種。幸せホルモンのセロトニンと、睡眠ホルモンのメラトニンの材料になる。朝食時には「バナナ+牛乳」などの組み合わせで、たっぷり摂取したい。

★トリプトファンを含むおもな食材★

⚫︎乳製品 ⚫︎肉類 ⚫︎豆類・大豆製品 ⚫︎バナナ、アボカド ⚫︎たらこ、筋子

GABA

アミノ酸の一種で、脳や脊髄に存在する神経伝達物質。心身を休息モードにする副交感神経を活性化させる。夜に自然な眠気を強め、不安やイライラをやわらげる効果もある。

★GABAを含むおもな食材★

⚫︎発芽玄米、あわ、大麦などの穀類 ⚫︎小魚 ⚫︎漬け物 ⚫︎トマト、スプラウト(発芽野菜) ⚫︎ココア、チョコレート

グリシン

たんぱく質を構成するアミノ酸の一種。手足の血管を広げて血流をよくする働きがある。体の深部体温がスムーズに下がって、深い眠りに入りやすくなる。

★グリシンを含むおもな食材★

⚫︎えび、いか、帆立などの魚介類

メラトニン

★メラトニンを含むおもな食材★

⚫︎米や麦などの穀類 ⚫︎貝割れ菜、ケール ⚫︎アメリカンチェリー

ビタミンB12

★ビタミンB12を含むおもな食材★

⚫︎鮭、いわし、うなぎなどの魚介類 ⚫︎しじみ、あさりなどの二枚貝 ⚫︎のりなどの海藻類 ⚫︎レバーなどの肉類 ⚫︎卵 ⚫︎乳製品

★鉄を含むおもな食材★

⚫︎かき、あさり、小魚などの魚介類 ⚫︎レバー ⚫︎米、小麦、とうもろこし ⚫︎黒豆、大豆、枝豆 ⚫︎アスパラガス ⚫︎きくらげ ⚫︎のり、わかめなどの海藻類

カルシウム

★カルシウムを含むおもな食材★

⚫︎干しえび、小魚などの魚介類 ⚫︎海藻類 ⚫︎乳製品 ⚫︎豆類 ⚫︎ケール、ブロッコリー、白菜

※この記事は「ゆうゆう」2023年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※2023年6月26日に配信した記事を再編集しています。


監修者
医師、医学博士 坪田 聡

つぼた・さとる●雨晴クリニック院長。日本睡眠学会、日本医師会所属。「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、睡眠の質を向上させるための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、睡眠コーチングを創始。総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして情報発信中。

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