月経かつての9倍に増加、しかし我慢する女性は9割超 職場の理解促進へ…「低用量ピル」を補助する企業も 女性従業員と会社、ミスマッチすると5700億円の損失

女性特有の健康課題を理解してほしいと作成したパンフレット

 埼玉県東部地域振興センター(春日部市)は、月経など女性特有の健康課題を職場で共有し理解を深めてほしいとパンフレットを発行した。同センターや自治体窓口で配布、パンフのデータをホームページ(HP)からダウンロードすることができる。無料。

 同センターは2023年度「女性の活躍とヘルスリテラシー普及促進事業」の一環として地域企業と連携しセミナーなどを開催した。企業の取り組みやセミナーの内容に、産婦人科医のインタビューをパンフに掲載した。A5判12ページフルカラー。

 パンフは経産省、民間団体や企業の調査を引用。「女性従業員と企業の間にミスマッチがある場合約5700億円の経済損失が見込まれる」「生涯の月経回数がかつてと比べ約9倍に増加」「生理の時に我慢した経験がある女性は9割を超える」などデータを掲載している。

 同センターは管内三郷市の企業「メディセオ」と連携しパンフで同社の女性活躍に向けた取り組みを紹介している。同社は社内で月経困難症に有効な治療法とされる「低用量ピル」の理解を促進するため処方された場合に会社が補助するなど女性従業員を支援している。

 また草加市内の企業で開かれたセミナーの様子を報告。「これまで男性には到底話せない話題と思っていた。これからも難しいかも…」(社員女性)、「性教育もちゃんと受けなかった世代なので正直困った」(同男性)といった参加者の声を取り上げている。

 同センターはパンフを活用し、本年度も管内の事業所などとセミナーを開催する予定。「たくさんの方々に手に取っていただき、社会の理解が少しでも深まれば」と同センターは話している。

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