ソフトバンク板東湧梧、2軍阪神戦で3回無死点 4月に背中痛めるも「もう全く問題ない」 夏場の1軍復帰見据える

先発し力投する板東(撮影・永田浩)

ソフトバンクの6年目右腕・板東湧梧投手(28)がペナントレースの勝負どころとなる〝盛夏〟での1軍復帰をにらみ、順調な回復ぶりを見せている。4月下旬に背中を痛め、リハビリ組での調整を余儀なくされてきたが「もう全く問題ないです」と全快宣言。20日のウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)での先発登板は3回を被安打2の無失点。球数もわずか27という省エネピッチで、その〝らしさ〟も存分に見せつける、実に巧みな投球だった。

一昨年は、優勝争いの終盤戦で先発ローテの一角を担って3勝、昨季も序盤はリリーフ、6月意向は先発を担い、自己最多の5勝をマーク。先発でも中継ぎでもこなせる貴重な存在で、6年目の今季は開幕直前まで先発ローテ入りを争ったが無念の2軍スタート。そこに思わぬアクシデントが襲ったのは、4月20日のウエスタン・広島戦(タマスタ筑後)で先発したときのこと。6回1失点の好内容を見せるも、試合後に背中に軽い肉離れを発症したといい、ブルペンでの投球練習再開までにも2週間近くを要することになった。

ウエスタン・リーグでの実戦復帰は、今月15日の広島戦(マツダ)で先発し、1回を無安打無失点。中4日での阪神戦は、最速144キロをマークしての3回無失点。打たれたヒット2本を含めても、対した打者11人のうち、10人が〝3球以内での勝負〟で、3イニングでわずか27球。1イニング平均9球という効率の良さに「ちょっと甘かったですけど、狙った通りに行った球も何球かありましたし、その辺は前回の登板よりも頻度が上がっているな、という感じです」と振り返った。

1軍は、交流戦終了時点で2位・ロッテに9ゲーム差をつけ、4年ぶりのV奪回へ向け、いよいよ独走態勢に突入しようとしている。とはいえ、シーズンはまだ中間点も過ぎておらず、消耗度の高い猛暑の夏が来れば、投手陣の疲労が目立ってくるというのはこの世界の半ば常識。夏バテをにらんでの危機管理は、チームマネジメントに不可欠。板東も「自分の出番が来ることを信じて、自分のできることをとにかく準備するという感じです」と球宴明け以降の、気候も戦いもヒートアップしてくる〝盛夏〟の頃を見据えての心づもりを怠っていない。松山2軍監督も「今はリハビリ上がりみたいなものなので、これからでしょうけど、順調は順調」と現状に及第点を与えた上で「上(1軍)に行ったときには、必ず、しっかりと抑えられるというボールをしっかりと投げられるよう、準備してほしい」と今後へ向けての注文もつけた。

ここから投球イニング数、球数を積み上げていきながら「その中で状態を上げていきたい」と板東。「遅れを取り返そうと思うとなかなか難しいですし、焦ってしまう。いきなり〝行く〟ことは難しいですから、とにかく段階を踏みながら、自分の状態をちょっとでも上げていけるように、という感じで頑張っていきます」。先発でも、ロングリリーフでも十分な適性を見せてきた右腕には、必ずこの先、必要とされる時が訪れるはずだ。

© 株式会社西日本新聞社