「我々はいつでも優勝候補!」開幕2連勝で自信を取り戻したドイツ。大活躍のムシアラ、クロースには指揮官、元選手、各国メディアから賛辞が

現地時間6月19日に行なわれたEURO2024のグループリーグ第2節で、ドイツ代表はハンガリー代表を2-0で下し、2連勝で勝点を6に積み上げ、決勝トーナメント一番乗りを果たしている。

シュツットガルトでの一戦、開催国は高いボール支配率を維持しながら主導権を握り、22分にゴール前でイルカイ・ギュンドアンのパスを受けたジャマル・ムシアラが2戦連続のゴールを決めて先制。そして67分には、マキシミリアン・ミッテルシュタットの左からのクロスをギュンドアンがダイレクトでゴール右隅に流し込んで加点し、このリードをGKマヌエル・ノイアーの好守などによって最後まで守り切った。

ユリアン・ナーゲルスマン監督は、「全体的に満足している。まずは、試合に勝たなければならない。チームやファンの期待は勝点3獲得であり、それを果たした。そのために、全員が全力を尽くした。これは非常に良い兆候だ。後半は非常に良く試合をコントロールできたと思う。2点目は、とりわけ素晴らしい攻撃だった」と、ポジティブに試合を振り返っている。
ドイツといえば、長く苦しい時を過ごしていたが、36歳の若き指揮官は「我慢しなければならない瞬間もあったが、それも成長の過程だ。昨年の10月だったら、今日のように2-0で勝つことはできなかっただろう。このレベルでは、安定していることが重要だ。ハンガリーは非常に厄介な相手だったが、ほとんどの場面で我々は安定していた。このような試合に勝つことが何よりも重要であり、我々はそれを成し遂げた」と語った。

歓喜する国民に対して「ファンはどんな夢も描くことができる。我々の仕事は、彼らに夢を見させ続けることだ」と語った指揮官は、また選手個々にも言及している。その中でムシアラについて「彼は(前節の)スコットランド戦も含めて素晴らしい活躍を見せた。両試合でゴールを挙げただけでなく、攻撃時の全ての場面で相手にとって守りづらい状況を作り出した」と語り、さらに以下のような独特な表現で、21歳のMFを絶賛している。

「彼にとって大事なのは、プレッシャーに対処することではなく、自身の能力を使って攻撃で1対1の状況を解決することだ。彼はドイツやイングランドのどこかの小さなピッチで友だちとサッカーをやるように、ただプレーすればいい。プレッシャーのことを考えずに、ただサッカーを楽しめばいい。彼はサッカーが本当に上手だ」 英国公共放送『BBC』は、「21歳の彼は、今大会のスター選手のひとりであり、ドイツのファンが後半に『ベルリン、ベルリン、我々はベルリンに行くぞ』と歌ったように、彼は決勝まで進めるという自信をチームやファンに与えている」と、ムシアラを評した。

同メディアはまた、「彼はドイツのために結果を残している」(元イングランド女子代表のイジー・クリスチャンセン)、「スターボーイ」(ボーンマスのMFアレックス・スコット)、「2022年カタール・ワールドカップで、彼は我々のベストプレーヤーだった。足に魔法が宿っており、相手をかわしてゲームを進める能力は本当に素晴らしい」(元ドイツ代表のロベルト・フート)と、さまざまな選手、元選手の賛辞を紹介している。

ナーゲルスマン監督は、「ムシアラ、ギュンドアン、そしてトニ・クロースの中盤は、今大会でのチームの進歩の鍵を握っている」とも語っているが、スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、この中で今大会限りでの現役引退を発表している34歳、クロースにスポットライトを当て、「ハンガリー戦のドイツはクロースのチームであり、ナーゲルスマン監督が彼をどれだけ重要視しているかを再確認させるものだった」と報じ、その有用性を指摘した。

「クロースは、CBのアントニオ・リュディガーとヨナタン・ターの左側まで深く下がり、試合をコントロールした。彼はボールを受け取り、パスを出し、相手の守備を探り、パスのチャンスを見つけようとした。そしてそのパスは、彼以外の選手には出せないようなものだった」
「安定した存在感を発揮し、ドイツの中心的な役割を担った。ムシアラ、ギュンドアンといった選手が素晴らしいプレーを見せ、一方でカイ・ハバーツやフロリアン・ヴィルツらが静かだったハンガリー戦では、特にクロースの役割は重要だった。それが、ナーゲルスマンが彼をフル出場(MFより前の選手では唯一)させた理由だろう」

かつての強いドイツが完全復活したのかどうかは、今後の試合を見る必要があるが、この内容を伴った連勝は選手たちに自信を取り戻させたようであり、ハンガリーの決定機を見事な俊敏性で防いでみせた守護神ノイアーは、「今は次の難しい相手との一戦に向けて集中する必要がある」と気を引き締めながらも、「ドイツはいつでも優勝候補のひとつだ!」と力強いコメントを残している。

ドイツの日刊紙『BILD』は、グループリーグ第1節を終えた時点でスペインを優勝候補の筆頭としたが、彼らを“わずかに下回った”自国代表チームを「5ゴールでショーの始まり。初日にこれほど頻繁に得点したチームはなかった。ホームアドバンテージがチームを奮い立たせている。さらに、魔法のコンビ『ウシアラ(ヴィルツとムシアラ)』が国民全体を奮い立たせている。守備陣がこれから対戦する強豪国の本気の攻撃に耐えることができれば、ドイツはスペインと並んで優勝候補のトップに躍り出るだろう」と、高く評価した。

構成●THE DIGEST編集部

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