森林解析技術開発のDeepForest Technologies、シリーズAラウンドで2億円調達

by ドローンジャーナル編集部

2024年6月18日、DeepForest Technologiesは、シリーズAラウンドとして、環境エネルギー投資、バイオ・サイト・キャピタル&SBI地域活性化支援、三菱UFJキャピタル、中信ベンチャーキャピタル、京信ソーシャルキャピタルを引受先とした第三者割当増資により、総額約2億円の資金調達を実施したことを発表した。

主な資金用途は、森林解析ソフトウェア事業およびカーボンクレジット事業の日本での拡大・海外展開。解析精度向上、現場用アプリや各種申請用の連携システムの開発。航空機や人工衛星を含めたリモートセンシングデータの複合的な解析技術の開発と、国単位で森林状況を可視化できるWEBプラットフォームの構築など。

DeepForest Technologiesが開発・提供している森林解析ソフトウェア「DF Scanner」「DF LAT」は、市販のドローンで樹種やサイズなどの森林の現状を一本単位で把握することができる。これらの技術をユーザーが活用していくためには、精度向上による解析の完全自動化、利用用途の拡充、カーボンクレジットなどの経済的な枠組みとの連携がより必要となる。

今後、現場で必要な周辺技術の開発を行うとともに、リモートセンシングデータの複合的な活用により、誰もが森林情報を可視化でき、川上から川下までの木材サプライチェーンの構築やカーボンクレジットの創出などが簡単に行えるシステム作りを進めるとしている。

【シリーズAラウンドの引受先】
環境エネルギー投資:EEI5号イノベーション&インパクト投資事業有限責任組合
バイオ・サイト・キャピタル&SBI地域活性化支援:大阪・関西万博活性化投資事業有限責任組合
三菱UFJキャピタル:三菱UFJキャピタル9号投資事業有限責任組合
中信ベンチャーキャピタル:中信ベンチャー・投資ファンド6号投資事業有限責任組合
京信ソーシャルキャピタル:京信イノベーションC3号投資事業有限責任組合

各社コメント

環境エネルギー投資 代表取締役社長 河村 修一郎氏

前回の資金調達に続き、今回もリード投資家としてDeepForest Technologies社に追加投資をさせていただきました。前回ラウンドからの主な事業進捗として、ドローンによる森林計測からカーボン・クレジット創出までの一貫した技術が、実現可能な水準まで確立されたことが挙げられます。これにより、従来の手法と比較して、高品質かつ低コストでクレジットを創出することが可能になると期待されます。なお、2024年には同社が日本初の上記手法によるクレジットを創出する予定です。実現すれば、この手法は世界が直面しているクレジットの信用力向上に関する課題解決にも繋がると考えられることから、投資家として大変期待しております。

さらに、同社は地球規模の環境問題に真剣に取り組む覚悟を持った森林テックのスタートアップです。クレジットの創出のみならず、創出時に取得した森林のメタ情報(樹種、樹高、幹の太さなど)を活用し、森林保全や生物多様性の維持を通じて環境問題に取り組んでいます。近い将来、世界にインパクトを与える、なくてはならない偉大なグローバルカンパニーになることを大いに期待し、これからも全力でサポートさせていただく所存です。

バイオ・サイト・キャピタル インキュベーションビジネス部 部長代理 荻野 真一氏

大西社長のことは京大・博士課程在学中から存じ上げていますが、当時から森林科学の研究成果を生かした起業を目指しており、気候変動対策や生物多様性保全の知識や思い入れは人一倍ありました。起業後は航空測量やAIの専門家もチームに加え、技術やビジネスモデルに磨きをかけ、大阪産業局主催HeCNOS AWARD受賞により大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン出展も決まりました。将来、世界の環境保全対策に不可欠なクライメートテック・スタートアップに成長することを期待して全面的に支援させていただきます。

三菱UFJキャピタル 大阪投資部 次長 矢野 潤氏

社長の大西さんは大学で森林科学を専攻し、森林に寄り添う事から始めた起業家です。地球温暖化に伴う洪水や干ばつ等、自然災害が猛威を振るう中、森林は木材としての経済価値だけでは無く、温室効果ガスの1つであるCO2の吸収源として評価されています。森林を地道に調べるフィールドワークから始めた当社の森林解析ソフトウェアは今後大きな役割を果たす事を期待しています。MUFGの一員として全力で当社のサポートをしてまいります。

中信ベンチャーキャピタル 代表取締役社長 今津 孝照氏

同社代表の大西様が学生時代より、ドローンで撮影したデジタル画像からディープラーニングを用いることで高精度に樹種選別が可能であることを世界で初めて発見され、DeepForest Technologies株式会社の事業の原点となる研究成果を上げてこられました。社会課題の解決に一途な思いで真剣に取組まれている大西代表の姿を見て、今回弊社としてご投資させて頂くことになりました。今後も大西様の思いに応えるために全力でサポートをして参ります。

京信ソーシャルキャピタル 投資部 松尾 宗紀氏

弊社は京都信用金庫の子会社VCとして、社会課題の解決や地域活性化に資する事業を応援しております。

DeepForest Technologies様の取り組みが林業の活性化だけにとどまらず、森林破壊による気候変動や生物多様性の危機、カーボンニュートラルの達成といった社会課題を解決し、サステナブル社会の実現に大きく貢献することを期待しております。

同社のこのミッションに共感し、事業の発展に向け伴走し支援して参ります。

DeepForest Technologies 代表取締役 大西 信德氏

今回の資金調達におきまして、投資家の皆さまからの応援とご支援をいただきまして心より感謝申し上げます。近年、海外の森林保全や日本の林業において、カーボンクレジットの活用が期待されておりますが、森林調査コスト負担や地元の人が活用できる観測システムの未確立、そして透明性担保が大きな課題となっています。

当社が目指すのは森林管理の効率化のために、誰もが簡単にドローンで森林を計測できる環境を創ること、そしてそのデータから簡単にカーボンクレジット創出や生物多様性の評価が可能になる未来です。カーボンクレジットの意図は二酸化炭素を排出している企業が二酸化炭素を吸収している山林そして山林管理者にその環境負荷分を支払うことです。その主体となるのは地域や山林管理者であり、当社は新技術を開発し誰もが使える形で提供することで、最大限地域の人が主体となることが可能な環境を構築し、森林の環境価値に基づく循環型経済システムの実装を進めて参ります。

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