GMOインターネットグループが新会社『GMO AIR』設立、AIとロボット・ドローンで描く未来

by 水野二千翔

インターネット上のドメイン提供や広告、金融などのサービスを提供するGMOインターネットグループ。2024年6月に開催されたJapan Drone 2024ではドローンにおけるセキュリティ対策の取り組みや、空飛ぶクルマが東京都内を飛行する様子を、ARで体験するブースを展開した。

GMO AI&ロボティクス商事株式会社の設立を発表したGMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表 熊谷正寿氏。登壇した熊谷正寿氏の画像

そんな同社は、AI関連企業やドローン・ロボットメーカーと、各事業者が用意するソリューションを活用したい顧客をつなぐ新会社「GMO AI&ロボティクス商事」(以下、GMO AIR)の設立を発表した。

GMOインターネットグループの新たな挑戦

GMO AIRのビジネスモデルは、まず顧客が求めるドローンやロボット、AIを用意。これらはインターネット通信を必要とするため、GMOインターネットグループが得意とするネット回線やクラウド、メンテナンスといったインターネットインフラ商材も合わせて提供する。

次に、AI活用ノウハウのレクチャー。GMOインターネットグループはAIを活用し月間10万6千時間の業務時間、年間18億円のコスト削減をそれぞれ達成している。AIによる業務効率化を目指す企業に、このノウハウを提供する。

最後に提供するのが金融サービスだ。グループ会社のGMOフィナンシャルHDやGMOあおぞらネット銀行とも協力し、ソリューションのレンタルやリース、ローン、保険、補助金の活用を支援するサービスを展開する。

近未来を予想したAI制作のイメージ映像

2024年6月18日に都内でGMO AIRの設立および事業内容に関する会見が行われた。会見の冒頭はドローンやAI、ロボットが活用される近未来を予想したイメージ映像からスタート。これらは脚本や音楽、CGに至るまで、すべてAIで制作され、プロデュースを人間が担当。人間とAIが共同で作品を作り上げられる一例を示した、同社の並々ならぬ意気込みが感じられる映像だ。

映像が終わるとGMOインターネットグループを率いる熊谷正寿代表がステージに登壇。将来にわたる人口減と働き手不足に対する懸念とドローンやAI、ロボットで対策する必要性、グループ企業による調査から判明した多くの人々がAIを活用していない状況を指摘した。そのうえで「近未来における日本の経済成長を促し、AIや産業ロボットの活用を後押しするため、GMO AIRを立ち上げた」と設立した意図を解説した。

ロボットの自律学習とAIの組み込み

また、今後はロボットとAIが融合していくという見通しを表明。熊谷代表は「ロボットはあらかじめプログラムされた動きを繰り返すが、予期しない事象に対応ができない。そこにAIを組み込み、各種センサーなどからデータを取得して事象を自律的に学習すれば、状況にあわせた意思決定が可能になる。AIとロボットは相思相愛だ」と相性の良さをアピールした。GMO AIRとしてはこのように集めたデータのプラットフォームを目指すことをビジョンに掲げている。

会見には4足歩行型ロボット「絶望ロボット」を開発する千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏も登壇。絶望ロボットがカメラやセンサーを使用せず、AIが学習したデータをもとにして階段を自律的に上り下りする様子を紹介した。古田氏は「脚がついたロボットにAIを組み込めば、新しいサービスが展開できる。GMO AIRはそのハブとなる会社だ」と同社設立の意義を強調した。

四足歩行ロボットのデモを交え、AIとロボットの関係性や将来のロボット活用について説明する千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター所長 古田貴之氏。
Japan Drone 2024で初公開となったイームズロボティクスの「E600-100」。
背中にドローン(Skydio)を搭載した人型ロボット。

ステージにはメーカー各社から集められたドローンやロボットが集結した。ドローンではイームズロボティクスが開発を進め、第一種型式認証取得を目指す機体「E600-100」を披露。またジャパン・インフラ・ウェイマークとugoが共同開発する「ugo+drone」も登場。タイヤで移動する人型ロボットの背中に、Skydio製ドローンの離着陸ポートを搭載したモデルだ。会見では人型ロボットが移動し、ドローンが飛び立つデモンストレーションが行われた。なお、登壇したドローンの選出方法について熊谷代表は「産業用ドローンの開発・展開を頑張っているメーカーに声をかけ、賛同した企業に登壇してもらった」と説明した。

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