「(優勝の)必然性を感じていない」ジョージが今後のキャリアに言及「俺が追い求めることは正しいスタイルでプレーしていくこと」<DUNKSHOOT>

今季のファイナルは、ボストン・セルティックスがダラス・マーベリックスを4勝1敗で下し、フランチャイズ史上18回目のNBAチャンピオンに輝いた。

ファイナルに進むことができるのは、毎年プレーオフで東西のカンファレンスを勝ち上がった2チームのみで、この場に立つことができずキャリアを終えたスター選手も少なくない。

6月14日(日本時間15日、日付は以下同)に行なわれた第4戦で、ファイナル未経験のポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)とジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が、米スポーツ専門局『ESPN』の番組「NBA COUNTDOWN」へゲスト出演した。

「これが俺にとって初のNBA(ファイナル)出場になる。こういう形でサイドラインから観ることになるのは嫌だけどね。いい気分ではないかな」

番組内でそう語っていたジョージは、19日に最新エピソードが公開された自身のポッドキャスト番組『Podcast P with Paul George』にて、共演したスティーブン・A・スミス、マリカ・アンドリューズ記者へ感謝しつつ、番組出演をこう振り返っていた。

「俺にとっては(新たな)経験になった。たくさん学べたよ。簡単なことじゃない。これがどれほど大変なことなのか、あの場の一員になってやってみてわかったよ。何と言うか、これはこれで難しいものなんだ」

ジョージは来季の契約がプレーヤーオプションのため、これを破棄すれば今夏に完全FA(フリーエージェント)となる。
そして、今夏のFA戦線で最もキャップスペースに空きがあるのはシクサーズ。そのチームで大黒柱を務めるエンビードは、ジョージを時折見つめながら「このオフシーズンで、俺たちがチームとして向上する方法を見出して、何かを加えられるといいね」と語っていた。

5月に34歳となったジョージは、203㎝・100㎏とウイングとして理想的なサイズを持ち、過去9シーズン連続で平均20点以上をマーク。さらにキャリアでオールスターに9度、オールNBAチームに6度、オールディフェンシブチームに4度名を連ね、NBA入りを夢見る子どもたちや若手選手たちからの支持も得ている。

ジョージはインディアナ・ペイサーズ時代の2013、14年、クリッパーズでは21年にカンファレンス決勝まで勝ち進んだが、前述のようにファイナル出場経験はない、選手としては大舞台に立ち、チャンピオンシップを獲得したいところだろう。

だがジョージはNBA選手として今後達成したいこと、どんな未来を見据えているかという話題になった際、意外な言葉を口にしていた。

「勝ち続けるバスケットボールに貢献していくことは確かだ。だけどここまで来ると、(優勝の)必然性を感じていないんだ。誰もがこぞってチャンピオンシップ獲得を追い求めると言うだろう。でも俺はそうじゃない。正しいスタイルでバスケットボールをプレーしていくこと、それが俺の追い求めていることなんだ」

はたして、今夏の注目FAの1人と評されているジョージはどんな決断を下すのか。もしシクサーズのような強豪チームへ移籍となれば、NBAの勢力図に変化が起こるかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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