「被害者と過ごし、いい思い出もあったのでは」金銭トラブルで同居人殺害 懲役16年を言い渡した裁判長が72歳の男を諭した言葉

同居人の男性を殺害したとして罪に問われている男に、熊本地方裁判所は懲役16年の判決を言い渡しました。

住所不定・無職の長谷川正(はせがわ ただし)被告(72)は、去年6月、荒尾市原万田のアパートで同居していた前田好志(まえだ こうし)さん(当時74)の胸や腹を包丁で刺し、殺害した罪などに問われています。

6月21日の判決で熊本地裁の中田幹人(なかた まさと)裁判長は、「強い殺意があったと推認される」とした上で、「金を返済しないことに腹を立てたのは理解できないものではないが、殺害まで至るのは短絡的で酌量の余地は乏しい」として、懲役16年を言い渡しました。

判決の後、中田裁判長は「あなたは裁判の中で被害者への思いや考え方を述べていましたが、被害者と一緒に過ごしていい思い出もあったのではないかと思います。その上で、被害者を殺めてしまったことについて刑期の中で反省して、社会復帰をしたら頑なにならず、福祉サービスなど周囲に助けを求め受け入れてください」と、72歳の長谷川被告を諭しました。

裁判長の言葉を受けて、長谷川被告は小さく頷きました。

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