弁論で思い伝え陸上競技で記録に挑戦 東北地区盲学校文化・体育大会〈仙台市〉

東北地方にある盲学校や視覚支援学校が一堂に会する文化・体育大会が、6月19日、20日の2日間仙台で開かれました。宮城での開催は12年ぶりです。弁論と陸上競技で各校の代表が競い合い、交流を深めました。

「東北地区盲学校文化・体育大会」は、東北地区の盲学校・視覚支援学校が集まって2年に1度、開催されるもので、宮城県での開催は2012年以来、12年ぶりとなります。

初日は「文化の部」として弁論大会が行なわれました。審査員には仙台市出身の芥川賞作家・佐藤厚志さんも加わり、各校の代表者の思いに耳を傾けました。

宮城県立視覚支援学校中等部2年 鈴木琉斗(るいと)さん(ナレーションが「りゅうと」さんとなっていますが、正しくは「るいと」さんです。お詫びして訂正いたします。大変申し訳ありません。)
「私には友達がいるのか?いるとすれば、それは誰なのか。そう考えることが増えていきました」

宮城県立視覚支援学校中学部2年の鈴木琉斗さんは「友だちとは」と題して友だちとは何かと考えた自分が、親友との出会いによってその意味を理解できたと伝えました。

鈴木琉斗さん
「あなたにとって友達とは何ですか、と聞かれたら今の私は胸を張ってこう答えます。自然と仲良くなれる一緒にいて心地よい存在です」

鈴木さんは手元に点字の原稿を置いて臨みましたが、内容は全て頭に入れていたといいます。見事、中学部の最優秀賞に輝き、10月の全国大会に出場することになりました。

鈴木琉斗さん
Q. 最優秀賞を受賞して
「急すぎてちょっと実感がわかなくて、ちょっとパニックになっています。でもせっかく全国に行けるということで、本当に指導してくれた先生には感謝の気持ちでいっぱいです」

宮城県立視覚支援学校高等部2年 喜嶋天那さん
「私は彼らにとっての普通を強要されたことが苦しかったのです。なぜなら私と彼らにとっての普通は、そもそも違っていたのですから」

高等部の弁論に出場した喜嶋天那さんは障がいがあることで何気ない言葉に傷ついた経験から「普通」とは何か、また、お互いを理解するために対話することの大切さに気づいたと述べ、優秀賞を受賞しました。

そして、20日は「体育の部」として陸上競技が行なわれ、真夏日寸前の暑さの中、67人が出場しました。弱視の生徒は伴走者などの助けを得ずに短距離走や走り高跳びといった競技に挑みます。加えて独自の競技もあります。

ゴールの先で鳴らす音を頼りに走る「50メートル音響走」。「円周走」は中心を固定したワイヤーを持って円を描くように走ります。

前日に弁論で最優秀賞を受賞した鈴木琉斗さんも3つの種目に出場しました。

鈴木琉斗さん
「悪くはないですけれど、そんなに自分の中ではあまり納得いかないですね。もうちょっと、いいタイムを出したかったなというのがありました」

中には、全国レベルの注目選手もいました。宮城県立視覚支援学校の藤田優真さん。ソフトボール投げ、50m音響走、400メートル円周リレーの3つの競技に出場しました。全国障害者スポーツ大会に2年連続で出場し、今年もハンドボール投げと100メートル走の2種目で全国大会出場が決まっています。藤田さんは生徒会長として前日の弁論大会では歓迎の言葉を述べていました。

宮城県視覚支援学校生徒会長 藤田優真さん
「この大会を通じて学校同士の交流の輪が深まり、記念となる2日間となることを願います」

その藤田さんはこの日も、圧倒的な実力を見せました。

「(ソフトボール投げ記録)51m84」

この日出場した3つの競技全てで1位を獲得!なかでも圧巻だったのが「50m音響走」です。スタートから大きくそれてゴールしたにもかかわらず、タイムは7秒28。2008年から破られていなかった大会記録を更新しました。

藤田優真さん
Q.50m音響走について
「あまり練習する機会はなかったんですけれど、ぶっつけ本番みたいな形にはなってしまったんですけれど、大会新記録という残る記録になって、自分ではよかったなと思っています」

7月には、フロアバレーとゴールボールの全国予選にも出場するという藤田さん。将来の活躍が期待されます。生徒達が生き生きとした姿を見せた2日間。

宮城県立視覚支援学校 高橋賢校長
「なかなか視覚障害に特化した大会というのがないもので、ほかの学校の生徒たちも思いっきり楽しんで参加していたんじゃないかと思います。子供たちが本当に生き生きと活動したというのがよかったなという風に思っております」

次回は再来年、岩手県を会場に開催されます。

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