建設現場ではどんな安全対策を?労災事故が多くなるといわれる夏を前に岡山労働局が岡山市役所・新庁舎の建設現場を視察

これからの時期に増える建設現場での事故ゼロを目指そうと、岡山市役所・新庁舎の建設現場で、岡山労働局が安全パトロールを行いました。この現場では、どんな安全対策を行っているのでしょうか?詳しくご紹介します。

視察を行ったのは岡山労働局・岡山労働基準監督署の職員ら22人で、再来年5月末の竣工を目指す岡山市役所新庁舎の建設現場を点検しました。特に、転落防止対策が適切に行われているか、熱中症対策が出来ているかなどチェックしていきました。

岡山労働局によりますと、岡山県内では今年に入ってから5月末までの建設業の労災事故は92件と昨年同時期の75件から17人の増加。特に墜落・転落事故が増えていて今年は38件(昨年同時期25件)発生したということです。

現場の工事の進捗率は6月20日現在で23%。こちらは、地下に組み立てられた鉄骨です。新庁舎の南側は地下1階で7メートルの掘削、北側は地下2階で10メートルの掘削を行いました。ちなみに、新庁舎は、地下2階、地上17階で高さが77メートルになる予定です。

鉄骨の間の空洞にネットが…転落防止の水平ネットといいます。

鉄骨の周りに設置されているのは、アルミ合金製の吊り足場です。鉄骨に張り出して設置して安全な場所を確保するのと、安全ベルトのフックをかけるのに使われています。

この吊り足場、鉄骨を上げる前に設置するため、高所での設置作業が不要なことから墜落・転落事故の軽減につながるということです。

ネットと安全ベルトとで二重に安全対策を行っています。

ちなみに鉄骨を所定の場所に設置するときは、いったん吊り上げたあと、真上から降ろすと危険なので、横から降ろして設置していきます。

そして、これから夏に向けて心配なのは、熱中症です。建設現場では、さまざまな熱中症対策が施されていました。

写真ではわかりにくいのですが、この扇風機からはミストが出てくるのです。前に立つと涼やかな風が吹いてきます。

事務所前の通路にはシャワーミストが設置されています。

このほかにも、熱中症を予防するための指標となる暑さ指数(WBGT)を大型パネルで見える化したり、気温やWBGTの値が上昇すると管理者に注意喚起を呼びかけるメールが送られます。

オール100円の自販機は、熱中症対策としてスポーツドリンクが多めに設定。

事務所には氷も用意されていて、自分の水筒の中に入れていく人が多いとか。

塩飴もたくさん用意されていました。

これらの現場を視察した岡山労働局の森實久美子局長は「しっかり安全対策をしているなと感じました。いろいろ安全の基本的なルールがあるのでそれをしっかり守って、労使ともにそこを理解していただいて取り組んでいただけたらなと思います」とコメントしていました。

岡山労働局によりますと、特にこれからの季節、労災事故が起こりやすくなるそうです。特に、梅雨の長雨で現場が滑りやすくなることからの転倒や気温の上昇による熱中症などが増えるということで引き続き安全対策の徹底を呼び掛けています。

7月1日~7日は「全国安全週間」で、今年のスローガンは「危険に気づくあなたの目、そして摘み取る危険の芽、みんなで築く職場の安全」です。

どの現場も、どうぞ「ご安全に」

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