『改修のために1千万円以上の出費も』新紙幣来月3日発行…富山県内でも自販機や券売機の対応に追われる

20年ぶりとなる新紙幣。
来月3日の発行開始まで2週間を切り、企業などが対応に追われています。
自動販売機や券売機などの切替えで費用がかさみ、経営への影響を懸念する声も聞かれます。

来月3日、20年ぶりに発行される「新紙幣」。
千円札は、破傷風の治療法を開発した微生物学者の北里柴三郎。
五千円札は、日本初の女子留学生の一人で日本の女子教育の先駆者、津田梅子。
一万円札は「近代日本経済の父」と呼ばれる実業家、渋沢栄一が「新しい顔」として採用されました。

新紙幣は偽造防止を強化し、世界で初めてとなる最先端の3Dホログラム技術が導入され、斜めに傾けると肖像が立体的に動いて見えるほか、肉眼では見えない「マイクロ文字」など、至る所に工夫が凝らされています。

*リポート
「新紙幣発行まで2週間を切りました。私たちの身の回りには自販機や券売機が溢れていますが、県内の企業でも対応に追われています」

路線バス、およそ140台を抱える富山地方鉄道。
車両に備え付けられている両替機もすべて更新が必要です。

*地鉄バス整備士
「これが紙幣識別機。運賃箱の中の紙幣識別機だけを取りかえる」

来月以降、1台ずつ中の読取ユニットを取り外し、メーカーに送って改修してもらいます。
費用は1台あたり7万円を超えるということで、ワンマン運転を行う鉄道や路面電車も含めて1千万円以上の出費に...。
依頼する岐阜県のメーカーには全国から数万台の注文が入っていて、全ての作業が完了するには時間がかかります。

一方、大人、子ども、会員料金など様々な区分があるスーパー銭湯で、客にもスタッフにも強い味方となるのが券売機です。

*利用客
「現金派です。機械は(苦手)」

高岡市のこの施設ではスマホやカード決済などにも対応していますが、圧倒的に多いのが高齢者を中心に「現金派」です。

*陽だまりの湯 奥あゆさん
「(メーカーに)1~2カ月前に改修を申し込み、今月中に間に合わせるよう急いでいる。ギリギリセーフ」

食券購入用の券売機も含め5台分、改修費は150万円以上。
光熱費も上がる中、大きな負担となります。

*陽だまりの湯 奥あゆさん
「(経営には)痛手だが、それ以上にお客様に満足してもらえる対応をしたい」

*Q.飲料自販機は?
*陽だまりの湯 奥あゆさん
「こちらは新紙幣対応はまだ。順番に対応を急いでいる」

全国で220万台ある飲料の自動販売機。
国の調べでは、新紙幣の対応済みは3割程度と時間を要しています。
県内に自販機を設置している各飲料メーカーも、利用頻度などに応じて順次切り替えるとしています。

迫る新紙幣の発行。
JR西日本は、新幹線駅設置の券売機は6月中に対応を完了しますが、在来線については順次切り替えることにしています。
あいの風とやま鉄道は既に新紙幣への対応を終えましたが、交通系ICカードの「チャージ専用機」については富山駅、高岡駅以外ではコスト削減のため、新紙幣への対応を行わず撤去する方針です。

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