ペットボトルリサイクルの約3割を占める「水平リサイクル」岡山県北に大規模工場完成 その実力は?

「水平リサイクル」という言葉を聞いた事はありますか?「水平リサイクル」とは使い終わった製品から再び同じ種類の製品をつくることです。これまではリサイクルというと例えば使用済みのペットボトルは衣服やトレイなど異なる製品に生まれ変わっていましたが、同じペットボトルにすることで、新たな燃料を使わずに半永久的に「ペットボトル」として循環できるというわけなんです。

「水平リサイクル工場」稼働 その実力は?

このペットボトルの「水平リサイクル工場」が今年3月、岡山県内に初めて完成し、今月(6月)から本格稼働…どうやって再生されるのでしょうか?

今年3月、津山市内に完成した工場「サーキュラーペット」です。大手企業三社が共同出資で立ち上げ、今月から本格稼働しています。工場で仕入れているのは「キャップ・ラベルがついたまま」「飲み残しがある」など自動販売機やコンビニなど街角で回収されるペットボトルです。

こうしたペットボトルはこれまでリサイクルが難しいとされてきましたが、この工場では、「ペットボトルの原料」となる合成樹脂への再生が可能に。年間16億本相当の製造を見込んでいます。

大手飲料メーカーなども積極的に取り組み、現在、ペットボトルリサイクルの約3割を占める「水平リサイクル」。石油などの化石由来の燃料から新たに作るよりもCO2の排出量を約60%削減することができ、脱炭素化などが期待されています。

津山工場では、地元・津山市や輸送を担うJRとも連携しビジネスモデルを構築していく方針です。

これまで家庭から出る、きれいにしたペットボトルを対象に水平リサイクルを行う事業者はいましたが、汚れたペットボトルの水平リサイクル事業も今回の津山の工場のように今後、広がっていくと考えられます。

学生服も「水平リサイクル」へ

岡山市内に本社を置くある企業も、去年11月から新たなプロジェクトをスタートさせました。学生時代に着る「あれ」の会社です。

(杉澤眞優キャスター)
「店内に置かれているのは、制服・体操服の回収ボックスです。中には使い終わった制服が入れられています」

岡山市北区に本社を置くカンコー学生服。全国で学生服・体操服を扱う会社が昨年11月からスタートさせた新たなプロジェクト。それは「制服を循環する」プロジェクトです。

(菅公学生服営業本部企画推進部 吉川淳稔部長)
「長く着用することは当然目標として作らせていただいているのですが、着なくなった、制服・体操服の行き先がゴミ箱では寂しいなと思っていますのでうまく活用できないかということが一つの課題でした」

カンコー学生服によると汚れがついた、ボタンがないなどの制服や体操服は捨てられるケースが多く、また卒業後は捨てるのがもったいない、譲る人がいないなどの理由から保管しているままの人が半数を超えていることも分かりました。

カンコー学生服では服を資源化する技術を持つ会社と協力し、「捨てられるはずの制服などを一度糸に戻し、再び同じ品質の制服・体操服を作る」という循環を生み出そうとしているのです。これにより、具体的な数値は今後算出するということですが、衣料品の原料の一部となるポリエステルに必要な、石油などの地下資源を使わずに済むといいます。

(菅公学生服営業本部企画推進部 吉川淳稔部長)
「置くことが目的ではなくて、まずはSDGsに関する学びを生徒と一緒にできる、そこがまず一つ目のステップだと思っています。ものを大切にするということを、制服・体操服を通じてご理解いただけるようになっていただきたいなと思います」

回収ボックスは現在カンコーショップ岡山と倉敷に設置されています。今後は、2026年度までに全国500校の学校への設置を目指し、来年春には、再利用した糸を使った商品を販売する予定だということです。

この「水平リサイクル」への動き、岡山県、そして全国的にも広がっていきそうです。

© RSK山陽放送株式会社