選挙ポスター、公費支援の見直し議論を 千葉県・熊谷知事が提言 都知事選混乱受けSNSで 「売名行為として供託金回収が見込め、選挙の本質歪めている」

熊谷俊人知事

 東京都知事選で同じデザインのポスターや候補者と無関係なポスターが掲示板に大量に張られ、有権者に困惑が広がっている問題で、千葉県の熊谷俊人知事は22日、自身のX(旧ツイッター)アカウントを通じて、現状の供託金制度や選挙ポスターへの公費支援制度の見直しについて議論すべきとの見解を示した。なお、熊谷知事は売名目的とみられる候補も含む新人8人が乱立した2021年3月の千葉県知事選で初当選した経緯がある。

 熊谷知事は「都知事選に多くの方が立候補し、選挙ポスターで過激な表現が問題になっています。今後は政見放送がカオスになるでしょう」と、都知事選の今後に心配を寄せ、「私は以前から公選法を改正し、選挙ポスター・選挙カー等の手厚い公費支援を見直し、諸外国の中で突出して高い供託金を引き下げることを提起してきました」と持論を展開。

 供託金制度については「一定のお金を払える人のみが立候補できるという、ある種、憲法で保障された被選挙権を制限するものであり、民主制としては望ましいものではない」と強調。また、選挙カーや選挙ポスターなどの費用が公費で賄われることについて「ネット選挙の時代、選挙カー自体が不要という候補者もいる中で、そろそろ公費支援の対象を見直す議論があって然るべき」と主張した。

 また、「youtubeで個人が利益を上げることができるようになった現代において、国政選挙や知事選などの大型選挙における選挙ポスターと政見放送は、売名行為として供託金分を回収できると見込めるものになっており、選挙の本質を大きく歪めるもの」とし、選挙ポスターや政見放送のあり方自体にも疑問を投げかけた。

 供託金制度の代替策として「選挙の対象有権者の一部(数百~数千)の署名提出をもって立候補者とする等の足切り条項」の創設を提案した。

 こうした意見に対し、Xユーザーからは「今日の急速な時代の変化に対応した法改正は急務」「供託金制度はお金の有無で立候補出来るか変わってしまうので無くすべきと思ってますので、こういう発信してくれる政治家はありがたい」などと賛意のコメントが寄せられている。

候補が乱立した千葉県知事選のポスター掲示板=2021年3月、習志野市

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