合格率1% 栃木県警・藤原警部補、剣道8段に 仕事で鍛えた集中力で最高段位

竹刀で素振りする藤原警部補

 栃木県警本部通信指令課の藤原真児(ふじわらしんじ)警部補(51)がこのほど、剣道最高段位の8段に合格した。審査は4度目の挑戦で、合格率1%の壁を突破して剣道の頂に到達した。普段は同課で110番受理などを行う藤原さん。「警察の仕事は一瞬一瞬の判断が重要で、瞬時に対戦相手に対応する剣道と通じる」と話し、8段として身に付けた平常心など「剣道の本質を後進に伝えていきたい」と語った。

 審査会は京都市で開かれ、全国から831人が集った。1次と2次の実技審査、形審査を経て、藤原さんを含めて8人が合格した。8人のうち本県関係者は藤原さんのみ。

 審査に向け、日々の生活から動じない心を意識して精神を整えた藤原さん。実戦形式の2次審査で最初にメンを打ち込み、「当たった」と思った瞬間からその後の記憶がないという。集中力が極限まで研ぎ澄まされていた。

 小学2年生の頃、同級生から誘われて剣道を始めた。県警で8年間、剣道の特別訓練員として打ち込んだ。2022年の「いちご一会とちぎ国体」では、県勢として剣道成年男子の副将で出場。決勝では自身の勝利で優勝を決めた。

 「仲間たちとの稽古や先生方の指導、職場の理解、家族の協力があって剣道ができる」と周囲への感謝を忘れない。「8段の中で自分はまだ底辺。さらなる高みを目指したい」と己を律した。

 藤原さんの合格に向けて重心の捉え方などを指導した県警本部教養課の高浜一夫(たかはまいちお)師範(58)は13年11月、8段に合格した。高浜師範にとって藤原さんは共に鍛錬してきた「剣友」。「いつか合格すると思っていた。うれしい」と笑顔で祝福した。

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