来年秋以降、油作り 福島県喜多方市高郷町の豆腐店店主 小原直樹さん 老舗の搾りの技後世に

平出さん(右)の油作りを受け継き、未来につなぐと決意する小原さん

 福島県喜多方市高郷町の豆腐店「とうふ屋おはら」店主の小原直樹さん(65)は、廃業した会津若松市の老舗油店「平出油屋」の伝統的な搾り技術を受け継いだ油作りに乗り出す。喜多方市内にある古民家の蔵に、搾り機などを平出油屋から移設し、来年秋ごろの製造開始を目指す。長年、地域住民に親しまれてきた油の味を未来につなぐ。

 2022(令和4)年末に廃業した平出油屋は、1841(天保12)年の創業。化学的処理を施さずに菜種本来の味わいの良さを引き出せる「玉締め圧搾法」を用いて、県内外から高い人気を集めていた。

 小原さんも常連客の一人で、自らの豆腐店の開業当時から平出油屋の油で厚揚げなどを作っていた。6代目の平出祐一さん(77)が設備の老朽化などを理由に平出油屋の廃業を決めると、「伝統の技を途絶えさせたくない」と弟子を志願。店に通って技術と思いを学び取った。平出さんは「受け継いでくれてうれしい。後世まで伝えてほしい」と期待する。

 小原さんは来年秋以降は豆腐店と掛け持ちし、当面は月に数回だけ搾るなど数量限定で製造をしていく考え。「豆腐店としても、かつての平出油屋の油は欠かせない。同じ設備、同じ方法で、限りなく品質の近い油を作る」と決意を語った。

■蔵の改修資金募る 来月31日まで

 小原さんは、クラウドファンディングで、油の製造場所として整備する蔵の改修資金などを募っている。7月31日までサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で支援を受け付けている。目標は1千万円。支援は3千円から募っており、返礼品には、菜種油を使った焼き菓子や、とうふ屋おはらの揚げ物・豆腐セットなどを準備している。

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