悔やまれるダボも山下美夢有は“充実”のメジャー2位「すごいプラスになった」

山下美夢有が堂々の2位フィニッシュ。パリ五輪代表に決まった(撮影:南しずか)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇23日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

日本の絶対女王が躍動した。山下美夢有が最終日最終組に入って優勝争いを演じ、トータル4アンダー・2位タイでフィニッシュした。メジャー出場7試合目にして“準優勝”。「パリ五輪」の日本代表入りを確実なものにした。

首位と2打差の2位タイでティオフ。これまでにない独特の緊張感があった。「(日本とは)また違った緊張感。やっぱりメジャーだなと思いました」。それでも、最後まで堂々とした戦いでエイミー・ヤン(韓国)の背中に迫った。

ともに1つずつバーディを奪って迎えた3番、エイミーがボギーとしたことで1打差になった。「(気持ちの変化は)なかったですね。しっかり伸ばすようにコースマネジメントをしていた」と自身のプレーに集中し続ける。だが、4メートルにつけた5番パー3、花道から寄せた6番パー5でパットを決め切れず。流れを逸すると、8番で落とし穴にはまった。

ティショットが左のラフに入り足元がバンかーにかかることから、2打目はフェアウェイにレイアップをした。残り82ヤードからの3打目、右サイドに切られたピンを狙った打球は右手前のバンカーにつかまり、寄せきれずに4オン2パットのダブルボギー。ここでエイミーとの差が一気に5打に広がった。

「あのホールはボギーで収めたかった。いいサードショットで狙えるチャンスだったけれど、欲が出てしまった。もうちょっとセンター目で狙っていれば、ボギーで収まっていたと思う」。追う立場としては、あまりにも痛い『+2』だった。

バーディを奪っていくエイミーに対し、山下はチャンスを逃し続けた。「きょうは比較的ショットがついていた方だったけど、パットが決まらなかった」。17番パー3ではホールイワン寸前のショットで2メートルにつけたが、バーディを取れず。エイミー独走状態のまま、山下は4位で最終ホールに入った。

フェアウェイを渡り歩き、花道からのアプローチを2.5メートルに寄せた。「18番はもう…気合いですね(笑)」。リーダーボードを見て、入れれば2位になることも確認していた。スライスラインを流し込むと、緊張がほぐれたような満面の笑みを輝かせた。

日本ツアー11勝を誇る女王でも、メジャーでの最終日最終組は初めての経験。優勝カップまでの“距離感”をリアルに感じられた一日だった。「(優勝まで)まだまだとは思わないですけど、ショートゲームやパターがまだダメだなと思った。この舞台でこの順位で戦えるというのも初めてだったので、すごいプラスになった。悔しいんですけど、またメジャーもあるので、そこでしっかり結果を出せるように練習を頑張りたい」。

今大会終了後に決定するパリ五輪日本代表入りも、古江彩佳、畑岡奈紗を逆転して手中に収めた。「(頑張った)結果として出られたらいいなと思っていた。日本代表として頑張りたい」と、初めて訪れるパリへのイメージも膨らませる。

来週からの日本ツアー「資生堂レディス」、「ミネベアミツミレディス」はスキップして休養に充てる。「休んで、課題がたくさんあるので、しっかり調整したい」。次戦は7月11日開幕の「アムンディ・エビアン選手権」になる予定。リベンジのメジャー獲りに照準を合わせている。(文・笠井あかり)

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