「ルカのような選手は二度と現れない」元クロアチア代表ラキティッチが語る“盟友”モドリッチの凄さ。「信じられない」と評した若手は?【インタビュー】

『サッカーダイジェストWEB』が日本独占契約を結んでいるスペインの『エル・パイス』紙が、サウジアラビアのアル・シャバブに所属する元クロアチア代表MFのイバン・ラキティッチのインタビューを実施。その一部を紹介する。

―――◆―――◆―――

――今回のEUROにはルカ・モドリッチ(38歳)、ロベルト・レバンドフスキ(36歳)クリスティアーノ・ロナウド(39歳)のようなベテランが参戦しています。そのクリスティアーノとアイメリク・ラポルト(30歳)はあなたと同じサウジアラビアでプレーしています。代表から引退したことを後悔していますか?

「いや、どんな選手にも引退するための完璧なタイミングというものがある。僕は代表に多くを捧げたし、逆にそのことでありとあらゆるものを与えてもらった。ほぼ13年間、100試合以上プレーした後、家族と過ごす時間を増やすタイミングが訪れたと考えた。家族は、僕のために多くの犠牲を払ってくれた」

――ルカ・モドリッチもあなたと同じ世代の選手です。

「あんなに小柄な選手が、どうしてあんなに大きくなれるんだろう(笑)。 ルカが仲間だと言えることが、僕たちにとってどんな意味を持つのか分かるかい? サッカー界においてルカと同じイメージ、同じ強さを持ったクロアチア人は、ニ度と現れないだろう。偉大なことを成し遂げ続けているにもかかわらず、親しみやすさや優しさは昔のままだ。彼は人生で多くのことを経験してきたし、自分が今持っているものすべてに感謝している。チャンピオンズリーグ(CL)の決勝の前に彼と話をする機会があった。これからもサッカーを楽しみたい、この調子で頑張りたいと言っていたよ。彼は自分のすべてを出し続けること以外、何も考えていない。練習に取り組む姿勢に変わりはないし、自分から逃げるような真似は絶対にしない。もう十分という考え方は彼には存在しない。まさにお手本さ。2018年に僕たちに起こったこと(W杯準優勝)はすべてそこから生まれた。ルカと監督(ズラトコ・ダリッチ)のリーダーシップのおかげだ。とにかく競争心の塊だ」

【PHOTO】EUROで躍動する名手たちの妻、恋人、パートナーら“WAGs”を一挙紹介!
――すべてのクロアチア人のように。

「そうだね。それは僕たちのDNAに刻まれている。同時に僕たちは常にスポーツシップの精神を尊重している」

――あなたはバルサと代表では、王様として君臨していたセビージャとは異なる役割を担っていました。どのように折り合いをつけていたのですか?

「自分がどこにいて、誰と一緒にいて、周りに何を与えられるかを理解しなければならない。メッシのいるバルサでも、ルカのいる代表でも、同じだった。パスの出し方について説明する必要なんてなかった。だってそうじゃない。メッシにスペースにパスを出すと伝える必要があったと思う? あのレベルになれば、すべてがお見通しなのさ」

【PHOTO】EURO2024を華やかに彩る各国の美女サポーターを特集!
――トニ・クロースとモドリッチは今なおトップレベルで活躍していますが、近年、中盤の選手が求められるパフォーマンスのレベルが上がったと感じますか?

「今日のサッカーにおいてMFの役割は少し変わった。5年前、10年前は少し違っていたかもしれない。だからこそトニやルカのような選手に中盤を託すチームが僕は好きだ。サッカーは進化している。今日、フィジカルほど、ボールタッチの繊細さは重要視されなくなった。周りをうならせるラストパスを出す選手が少なくなった。例えば、10番はいつから消えたのか。9番の後ろでプレーする選手は?とても残念なことだ」

――どんなタイプのMFが好きですか?

「どこにでも顔を出す選手だ。前方でパスを待ち構えるだけでもない、後方からボールを配給するだけでもない。8つの目を持っているフリーマンだ。いつ攻撃をスローダウンさせるか、いつスピードを上げるか、仲間に指示を出すことができるMFだ。そういった選手が最後に違いを生み出す。彼らは速く走ることができないかもしれないけど、サッカーにおいて最も速い筋肉はあくまで頭脳だからね」

――ペドリ、ガビ、ダニ・オルモをどのように見ていますか?

「信じられない選手たちだよ。バルサでプレーしている選手は今もよく追いかけている。バルサにとって彼らのような選手がチームにいることはとても幸運なことだ。若いながら、すでにチームのキーマン的な存在だ。そもそもサッカーでは、上も下も年齢は関係ないしね。それを教えてくれるのがルカであり、ペドリだ。一方、マドリーにも評価に値することがある。世代交代を実現させていることだ。マドリーの若手は幸せ者だよ。(フェデリコ・)バルベルデとクロースの間に起こったことを見ればいい。バルデルデは、クロースが教えてくれたことすべてに感謝しているはずだ。フェデはマドリーで2度のチャンピオンズリーグ優勝を経験した。すべてを勝ち取った選手たちに導かれながらね。それがスペクタクルなチームというものであり、組織として見事に機能している証だ」

――いま開催中のEUROをどのように分析していますか?

「とても長くタフな大会になるだろう。このようなメジャー大会では、いつも大きなサプライズが起こる。スペインやイングランドについていつも話題にするのは理にかなっている。それはドイツも同様だ。確かに近年、成績は低迷していたけど、ホームの利は大きい。どのような戦いを見せるか興味は尽きない。個人的にはトルコがどのような地位を確立するのかも見てみたい。若い選手が多く、これまでとはタイプが異なる監督(ヴィンチェンツォ・モンテッラ)に率いられている」

インタビュアー●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙スペイン代表番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

© 日本スポーツ企画出版社