『富山から世界へ…背景と狙いは』富山県内唯一ウイスキー製造の酒造会社が東京で新製品発表会

世界的な人気が続く日本のウイスキー。
富山県内で唯一ウイスキーを製造する酒造会社が、先週末、初めて東京で発表会を開き新製品をPRしました。
富山から世界へ…。
その背景と狙いを取材しました。

東京・代官山。
先週21日金曜日、砺波市の若鶴酒造の5代目、稲垣貴彦社長の姿がありました。
この日行われたのは、県内で唯一ウイスキーを製造する三郎丸蒸留所の新製品発表会。
東京での発表会は初めてです。

*若鶴酒造 稲垣貴彦社長
「きょうは、三郎丸蒸留所の特徴であるピートの違いがわかる新製品の発表ということになる」

お披露目するのは、三郎丸蒸留所のウイスキーだけで仕上げたシングルモルトの人気シリーズ第5弾「三郎IV THE EMPEROR」です。

*若鶴酒造 稲垣貴彦社長
「三郎丸IVというのは第5弾にあたるが、内陸のハイランド地域のピートを使った最新のウイスキー。いわゆる黄色いフルーツ、パイナップルやリンゴのようなフルーティーさが明確に出てくるのが『THE EMPEROR三郎丸IV』の特徴」

ウイスキーのスモーキーな香りのもとになるピート。
草や水生植物が炭化した石炭の一種で、新作は、スコットランドの本土、ハイランド地方のものを使用しており、よりストレートにスモーキーさを感じられるようになったということです。

発表会に集まったメディアや飲食店関係者、ウイスキー業界の人たちもその違いを感じ取っていました。

*モルトヤマ 下野孔明さん
「2種類のピートでの特徴が出ていて、とてもおもしろいと思った」

*小正嘉之助蒸溜所 小正芳嗣社長
「三郎丸蒸留所とは近いときに蒸留も開始していることもあって、酒質もテイスティングをして成長というか変化がとても感じられたので、いいイベントに参加することができたなと」

*アレン トレーディングマイケルシェ社長
「三郎丸というブランドは台湾でとても人気が出てきている。今後もこの関係をもっと強化して、より多くの台湾の人、もしくは台湾近くの他の国々に関してももっと広めていきたいと思っている」

今回、東京でイベントを開催したのも、海外に向け情報を発信することが目的の一つでした。

日本のウイスキーの輸出額は、去年こそ、中国との取引が減ったため過去最高だった前の年を下回ったものの長期的には急拡大しています。

こうした中、若鶴酒造も現在、20あまりの国と地域に輸出を展開していて、その売上高は5年で20倍に増加。
中でも特に、結びつきを強めているのが、台湾市場です。
単なる輸出先としてだけでなく、今年4月、台湾東部で地震が発生した際には、チャリティーボトルを発売。
わずか1分で完売したことでも話題となりましたが、利益分の400万円の寄付を決めるなど、ビジネスの関係を超えて交流を深めています。

*若鶴酒造 稲垣貴彦社長
「東京というところが、今回、台湾の方が駆け付けてくれたということもあって世界に、ウイスキー、三郎丸を発信していく上において情報の発信の中心であるということで選んだ」

夜のイベントで、振る舞われたのは、樽から出されたウイスキーを水で薄めずにボトリングした希少な製品。
おつまみには、富山ならではの、スモークしたホタルイカも登場しました。

*参加者は
「このホタルイカがあるのはすばらしいと思った。ホタルイカとウイスキー、ピートの感じも合いますし」
「こういうイベント、僕も初めてだが、皆さんが楽しんでいる感じもするし、中に入って僕も楽しめる感じがしてすごくいいなと思った」

会費は1万円と決して安くはありませんが、蒸留所の最高責任者に直接話を聞ける機会とあって、ウイスキー談義で盛り上がりイベントは大盛況でした。

*若鶴酒造 稲垣貴彦社長
「ウイスキーの魅力は飲むこともそうだが、語ることも大事で、それが輪になって語り合えるような場所や機会を作っていきたいと思う」

富山で生まれたウイスキー。
着々と、世界への進出が進んでいます。

© 富山テレビ