真岡鉄道、SL運転士を停職1カ月 飲酒基準超え乗務受け 運転指令ら4人も処分を発表

懲戒処分について記者会見する真岡鉄道の上野専務(右)ら=24日午後、真岡市台町

 真岡鉄道(栃木県真岡市)で男性運転士(51)がアルコール検査で基準を超える数値が出たにもかかわらずSLに乗務した問題で、同社は24日、運転士を停職1カ月の懲戒処分にすると発表した。別の課へ異動させ、運転業務からも外す。同社の上野公男(うえのきみお)専務取締役(63)は記者会見で「公共交通機関としてこのような不祥事が起き、大変申し訳ない」と謝罪した。

 同社によると、運転士は4月20日朝の出社後、男性運転指令(43)とアルコール検査を実施。2度の検査で同社の基準値(呼気1リットル当たり0.05ミリグラム)を超える数値が出たが、本来すべき3度目の検査を行わなかった。男性運転指令が点呼簿に「0.00ミリグラム」と虚偽の数値を記載。運転士はそのままSLに乗車し、下館-茂木駅間を往復した。

 懲戒処分では運転士のほか、男性運転指令と、運行業務を取り仕切る男性事業部長(53)をいずれも減給1カ月、管理監督不十分として上野専務と総務部長(62)を訓戒処分とした。処分は25日付。

 同社の調査では、基準値以上の数値が検知されたことについて運転士が「マウスウオッシュ(洗口液)を使った」と説明している。このため、処分は酒気帯び運転ではなく、検査の規則違反を理由とした。

 再発防止策として、アルコール検査を3人体制で行うほか、顔写真付きで記録が残る最新検査機器を導入する。運転の12時間前からの飲酒も禁止する。

 また、常習的に不正がなかったかなどを含めて、全21人の運転士に対する聞き取り調査を25日から始めるとした。

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