福井洞窟が国特別史跡に 旧石器時代の遺跡で全国初 長崎・佐世保

特別史跡にするよう答申された福井洞窟=佐世保市吉井町(佐世保市教委提供)

 国の文化審議会は24日、長崎県佐世保市吉井町の「福井洞窟」を特別史跡に指定するよう文部科学相に答申した。遺跡の中で最高ランクで、登録されれば本県の特別史跡は3件目。旧石器時代の史跡として初めての指定で、特別史跡の中で最も古い時代のものとなる。
 福井洞窟は、市北部の福井川の浸食で形成された砂岩洞窟。日本考古学協会が1960年以降、3回の発掘調査を実施し、年代ごとに特徴が異なる石器が出土した。旧石器時代終末期~縄文時代草創期に盛んに作られた細石刃などの石器や、縄文時代の初めに登場する土器などが見つかり、旧石器から縄文時代への変遷が初めて明らかになった。78年に国史跡に指定された。
 さらに市教委が2011年度から12年度にかけて実施した再発掘調査で、洞窟が石器製作の場所だったことを示す炉跡が新たに発見されたほか、より詳細に遺跡の全容が解明された。これらが高い評価を受けており、審議会は「後期旧石器時代から縄文時代への移行を連続的に示す洞窟遺跡」とした。
 特別史跡は、文化財保護法で指定された国史跡の中で特に歴史上、学術上の価値が高いものを文部科学相が指定。有形文化財の国宝に当たる。全国で約47万件ある遺跡のうち、特別史跡は63件。このうち県内には金田城跡(対馬市)と原の辻遺跡(壱岐市)の2件があり、福井洞窟が登録されれば24年ぶりとなる。
 宮島大典市長は「わが国の歴史を示す貴重な文化財として、佐世保市の宝として後世に保存、継承されるよう尽力していく」とコメントを出した。市内には国内最多となる36カ所もの洞窟遺跡があり、広く国内外にアピールしていく考えも示した。
 文化審議会はこのほか、東日本最古級の大規模前方後方墳、高尾山古墳(静岡県沼津市)など10件の史跡指定も求めた。

福井洞窟の位置

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