黒山の昔穴遺跡(九戸)国史跡指定へ 文化審議会答申

平安時代後半の竪穴建物跡がくぼみとして残る黒山の昔穴遺跡

 国の文化審議会(島谷弘幸会長)は24日、九戸村江刺家にある平安時代後半の高地性集落、黒山(くろやま)の昔穴(むかしあな)遺跡を国史跡に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。竪穴建物跡が現在も埋まらずにくぼみとして残るのが最大の特徴。山林資源の利用や、それらを通じた交易に関する集落と考えられ、成立過程や役割などを知る上で貴重な遺跡として認められた。

 遺跡は二戸市との境にある標高約430メートルの山の尾根上に位置する。指定面積は6万6562.29平方メートル。竪穴建物跡とみられるくぼみ65基が良好な状態で残る。2007年に県史跡に指定。村教委が14~19年度、国史跡指定を目指して調査した。23年には、文化庁が史跡に指定する前段階から保護するため「指定相当の埋蔵文化財」に選んでいた。

 高地性集落は標高の高い山地や丘陵部に竪穴建物跡などが立地する集落跡で、10世紀後半~11世紀初頭の平安時代後半の東北北部で特徴的に見られた。集落間の対立への備えや、外敵に対する防御的な性格をもつとされてきた。しかし黒山の昔穴遺跡は堀・土塁といった防御的施設がなく、出土品を検討した結果、山林資源の利用や交易に関する集落と考えられるようになった。

 

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