移住者が5年間で3倍超…福井県永平寺町で空き家が不足 低い活用意識…「バンク」登録進まず

福井県永平寺町が作成した空き家や空き地を募集するチラシ。移住・転入希望者の増加で、住まいとのマッチングが課題になっている

 空き家が足りません-。全国で空き家の増加が問題となる中、福井県永平寺町は5月上旬に空き家や空き地を募集するチラシを町内に回覧した。町内への移住・転入希望者の増加に伴い、2023年度は町の空き家バンクの新規登録数11件に対し、従来の登録分を含め成約数が10件に上った。所有者の活用意識の低さなどからバンクへの登録は進んでおらず、町は意向調査などを通して物件の掘り起こしを急いでいる。

手厚い支援

 町えい住支援課によると、県外から町内への移住者は19年度の11人から23年度は38人と3倍超に増加。移住相談も23年度は延べ72組から受け付け、5年間で5倍近くに達している。

 町は移住支援金や空き家購入費などの補助に、町内で比較的人口の少ない永平寺、上志比両地区を対象に23年度から独自の加算制度を導入した。例えば、県内就業などを要件に県外からの移住者に支給する1人50万円の支援金は、両地区の場合100万円を上乗せする。空き家の購入、改修補助には上限60万円に40万円を加算する。県外から両地区への移住者は23年度18人と前年度から倍増し、町全体の約半数を占めた。

 県内他市町からの転入者は、近年200~300人前後で推移している。担当者は「移住支援に加え、小中学校の給食費無料化や通学定期の20%補助など手厚い子育て支援もあり、宅地を探す人も多い」と話す。

 福井市に近く1990年代に区画整理された清流地区など人気エリアは宅地整備が頭打ち状態で、近年は周辺のエリアにも開発の動きが広がっているという。

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