約10y飛距離が伸びた小祝さくら インパクトで手元が浮かない“秘密”はバックスイングにあり【優勝者のスイング】

小祝さくらのスイングをプロコーチの南秀樹が解説(撮影:上山敬太)

ツアー史上4度目の月曜決戦となった大会で、小祝さくらが今季2勝目を飾った。雨の影響で中断、待機があった中、2日間に及んだ第3ラウンドで「65」をマーク。2位に6打差をつけて臨んだ最終ラウンドを逃げ切った。

試合展開を見守ったプロコーチの南秀樹は「第3ラウンドが大きかった。距離のあるコースで、雨が降ってランが出ない状況でも、スコアを伸ばし首位に立ちました。飛ばない選手にとっては、なかなか気持ちが乗らないコンディションでしたが、そんな中でも飛んで曲がらないティショットを武器に攻めた結果だと思います」と南は小祝の勝因を分析する。

今季の小祝のスタッツを見ると、ドライビングディスタンスは252.7ヤードで8位、フェアウェイキープ率は66.76%で42位。2022年シーズンの243.3ヤード(21位)、67.86(47位)と比べると、正確性を保ったまま、約10ヤードの飛距離アップに成功している。

スイング的にはインパクトでの手元の低さが飛んで曲がらない要素だ。「バックスイングの懐が深く、腰はレベルターン。インパクトで手元が低く、フォローで左肩も浮かない理想的なスイング」と南。インパクトで手元を低くするには、「左足体重のインパクトに加え、トップが適切なポジションに収まっていることが欠かせない」と語る。アイアンでは手元を低くできても、ドライバーでは手元が浮いてしまい、思うように飛ばせていないアマチュアが少なくないと話を続ける。

「オーバースイングになるとインパクトで手元を低くしにくくなってしまいます。『飛ばしたい』、『アッパーに打ちたい』と思うこと、また小さく上げようとしても『これでは小さすぎる』と最後に手先で帳尻をあわせるなど、ドライバーでは自分のイメージよりもバックスイングが大きくなる傾向があり、手元が浮きやすくなっているのです」

イメージよりもバックスイングが大きくなっているなら、次のことに注意したい。「始動からしっかりと右足に乗って、ウェートシフトすること。またボールを見過ぎないことも大切です。右足に乗って体の回転でクラブを上げればバックスイングは大きくなりません。そのためには頭も右へ動かなければなりません。軸ブレやスエーを嫌がって、体の動きが小さくなっていないか確認してください」。

右へのウェートシフトが不十分だと、左から右の体重移動、つまり、ギッコンバッタンとなってオーバースイングになりやすいわけだ。14本の中で、軽くて長いドライバーは飛ばしたい気持ちもあって手元が浮きやすいクラブ。それでも小祝のように手元を低くするには、バックスイングが大切となる。

■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。

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