「生きのびるために」東日本大震災で被災の語り部、警察官に講演 福島

東日本大震災から13年あまりが経ち、当時の記憶と教訓を学んでもらおうと、語り部として活動する男性が24日、講演をしました。話を聞いたのは、被災地で従事する警察官です。

高倉伊助さん「日中は長そでシャツでも汗ばむような状況だった。ところが引き波が終わり、暗くなるのもいつもより早かった。一瞬で寒くなり、みぞれになった」

この講演会は、発生から13年が経った震災を風化させないため、23日、福島県警双葉警察署で開かれました。講師をつとめたのは当時、双葉町で被災した高倉伊助さん。現在は、原子力災害伝承館で語り部として活動しています。

高倉さん「我々の地域で亡くなったのは16人。中学校を卒業したばかりの女の子と男の子、男の子は家族全員亡くなった。みんな引き波を見ているからこれは波に持っていかれたなと、そんな話をするしかなかった」

「生きのびるために」と題して開かれた講演。高倉さんは、震災当時の行動や心境、そして防災の大切さなどを語りました。参加したおよそ40人の警察官は、高倉さんの話に静かに耳を傾け、震災の教訓とともに命を守る責務を改めて胸に刻んでいました。

高倉さん「(災害は)いつあってもおかしくない状況。少しでも脳裏にとどめてもらえればと思って話した」

双葉警察署・復興支援課 鈴木紀之巡査「次々と大きな災害が起きている中で、東日本大震災の教訓は非常に貴重だと思う。ご自宅に戻ることが叶わない方もいる。その方たちの思い出を守るとともに、1日でも早い復興の助けになれればと思う」

高倉さんの話を聞いた警察官のなかには、震災後に採用された若手の警察官も多く、災害の時にどう動くべきかとともに被災した人たちに寄り添う今後の活動について決意を新たにしていたということです。



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