女性のからだ特有の悩みを解決する『フェムテック・フェムケア』…富山県内での取り組みは

ここ数年、『フェムテック』『フェムケア』という言葉を耳にするようになりました。
女性の社会進出や活躍をサポートするため、女性のからだ特有の悩みを解決する取り組みで、富山県内でも広がりを見せています。

今年4月、富山市にオープンした女性専門のサロン。
悩みを抱えた20代から50代の女性が相談に訪れています。

*中島沙里奈さん(36)
「生理不順、生理痛、お腹が痛くなったりPMS(月経前症候群)がひどい」

女性は妊活中で、冷え性を改善したいと4月からサロンに通い始めました。

ここはデリケートゾーンのケアなどを行うフェムケア専門のサロンです。
『フェムケア』とはFeminine(女性の)とCare(手入れ)をかけあわせたもので、月経、妊娠、更年期など女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する『フェムテック』とともにここ数年注目されている分野です。

*中島沙里奈さん(36)
「仕方ないこと。生理不順も、これが普通みんな相談したらそれなりに悩みがあるし、しかも悩みを相談しにくい場所でもあるから、これが普通なのかなって」

2人の子どもを持つ中島さんの妹も、悩みを抱え相談に訪れていました。

*山根きららさん(33)
「お風呂に入ったら膣の中にお湯が入ってる状態で、外に出たらだーってお湯が出てくる」

骨盤底筋が緩み、湯漏れや尿漏れの原因となるデリケートゾーンのたるみやシワ、黒ずみに悩む女性が最も多いといいます。

こうしたフェムケアを紹介するイベントが、先週末富山市で開かれました。
会場には、県内企業を含む12社のサービスや製品が展示され、着けて寝るだけで体温を自動測定し、毎日のリズムをグラフ化してくれる商品など最新の取り組みが紹介されました。

フェアに出展した南砺市城端の「松井機業」。
明治10年創業、150年近い歴史がある絹織物会社です。
去年、6代目社長に就いた松井紀子さんは、女性ならではの視点で新たな商品を開発しました。

*松井機業 松井紀子社長
「肌に当たる部分が、すべてしけ絹で作られている」

今年4月から販売を始めた『しけ絹の布ナプ』。
希少な糸を織り上げたシルク、『しけ絹』で作られた生理用品で、手洗いし繰り返し使えます。

*松井機業 松井紀子社長
「普通は(蚕が)1頭ずつ繭の中に入っていくが、すごく稀に…これ2頭入ってると思ういびつな形をして普通の繭より大きかったり」

ごく稀に2頭の蚕が作る1つの繭から紡いだ糸。
玉糸と呼ばれるその希少な糸を織り上げたのが『しけ絹』で、人肌に近い独特な手触り感があります。

絹には湿度の調整や毒素を排出するデトックス効果があるとされ、20代の頃重い生理不順に悩まされていた松井さんが、絹のナプキンを使ったところ改善した経験があり、また出産を経験し気恥ずかしさもなくなったことが、開発につながったと言います。

Q使い方は?
「軽めの生理の時は、折ってこのまま当てる感じ。ちょっと重い時(経血が)多い時は、厚手のものを2枚重ねにして巻いて挟む」

閉経後の女性でも、おりものや軽い尿漏れに使えるといいます。

*松井機業 松井社長
「実は私も悩んでてって方がすごく多くて、普通に会話で言えるってすごく気持ちいい時代。女性が一人で抱え込むんじゃなくて(悩みを)言えるのは発散にもなる」

再び、富山市のサロン。
冷え性に悩む中島さんは、お腹を温めたりデリケートゾーンの汚れを取り引き締める施術をうけ、目に見えて症状が改善しているといいます。

美容師として働く妹のきららさんも、仕事と子育てに追われる中、自分のからだに目を向けるきっかけになったと話します。

*山根きららさん(33)
「自分の体を整えてあげようっていうのが、仕事も頑張れるような感じ。これを機に自分の体も大切にしたい」

*Salon Diosas 菊池由佳さん
「男性の方にも知ってほしい。職場の取り組み。ナプキンをトイレに置くとか女性への理解を男性にもしてほしいし、社会全体で取り組んでもらえたらうれしい」

女性たちがいきいきと自分らしく生きるため、社会全体の取り組みとして今後も広がりを見せそうです。

フェムテックの展示会は去年に続き2回目の開催で、去年は県外の企業がほとんどでしたが、今年は県内企業が大半を占めていました。
県もフェムテックに取り組む企業に助成を行っていて、県内でもさらに広がっていきそうです。

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