阪神10度目零敗 岡田監督は「今までの0とはちょっと違う」 貧打脱却の予感が試合前からあった

 4回、右前打を放つ佐藤輝(撮影・山口登)

 「阪神0-1中日」(25日、倉敷マスカットスタジアム)

 阪神は今季10度目の完封負け。首位・広島とは3ゲーム差に広がった。

 糸原のバットが空を切った瞬間、倉敷の虎党からため息が漏れた。“魔の火曜日”に今季10度目の完封負け。それでも試合後の岡田彰布監督は打線の復調を感じ取っていた。

 「いやいや、内容的にはあれや、最近ではまだ良かったよ、今日は。相手のピッチャーも良かったからなあ。小笠原もなあ。チャンスを作ってもそこで一本出るかどうかや、そういうことや」 

 スコアは0-1でも決して完敗ではない。序盤から不振の近本、中野に安打が出るなど、得点のムードを漂わせた。四回は先頭・森下が二塁手のグラブをはじく中前打。続く大山も捉えた打球を放ったが、遊撃正面を突き併殺。チャンスが一度ついえた後も、前川が遊撃内野安打をもぎ取り、粘り強さを見せた。

 「大山のもそんな悪い打球じゃなかったけどなあ。正面行くということはやっぱり向こうのボールが良かったんやろな」

 1点を追う九回も2死から佐藤輝が左前打。代走・植田が二盗を決め、代打・渡辺は四球を選んだ。「塁に出たらチャンスあると思ってたけどなあ。1点やしなあ」。年に一度の倉敷での一戦。ホームは遠かったが、マルティネスを苦しめ、最後まで見せ場はつくった。

 予兆はあった。ナインは試合前練習のフリー打撃で快音連発。打ち損じて打撃ケージに当たる打球は数えるほどで、反対方向の内野席へのファウルはほとんどなかった。「練習の時から差されとったら試合で打てるわけないやんか」。倉敷入り前に苦言を呈していた将も「良かった。久しぶりになあ」とうなった。

 巨人が勝ったため2位に並ばれ、首位・広島とは3ゲーム差に広がった。監督通算700勝も2度目の足踏みだ。26日は甲子園に帰っての中日戦。「今までの0とはちょっと違うよな。野手の方が明日からどういう感じでできるかやろなあ」。打線上昇の期待感がある。倉敷のファンの大歓声を浴び、岡田監督は帰りのバスへ乗り込んだ。

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