なぜ“今どき”の人は平屋に住みたいのか 本社のとちぽアンケートで5割超が「理想」と回答 

コンチネンタルホームが手がける平屋住宅(コンチネンタルホーム提供)

 栃木県内で平屋住宅のニーズが高まっている。下野新聞社が26日までに、LINE公式アカウント「とちぽ」で住宅に関するアンケートを実施したところ、「何階建てが理想ですか?」の設問に「平屋」と回答した人が5割を超えた。なぜ平屋がいいのか。県内で平屋を建てると決めた20、30代や住宅メーカーの担当者に話を聞くと、“今どき”の生活事情が垣間見えた。

 住宅に関するアンケートは5月16日~6月15日に実施し、1765人が回答した。理想の階層については1597人が答え、このうち「平屋」を選んだ人が881人(55.2%)に上った。次いで「2階建て」が627人(39.3%)、「3階建て」46人(2.9%)と続いた。

■最初からいらない?

 「老後は階段の上り下りが大変になる。子どもが自立して家を出たら、2階は使わなくなりそう」

 宇都宮市砥上町、公務員西岡塁(にしおかるい)さん(33)は、将来を見据え、平屋住宅を建てることを決めた。7月の着工予定で、結婚相手の女性も「洗濯物を2階に持って行くのは大変。バルコニーも、サンルームもいらない…と話し合っていたら平屋になった」と楽しみにする。

 夫と子どもの3人で平屋に住んで3年という那須塩原市、パート従業員の女性(28)は「面倒な階段掃除をしたくなかった」と説明する。一般的に、2階建てと比べて平屋は基礎や屋根の面積が大きくなるため、割高になるとされる。女性も、予算面から2階建てにする考えもよぎったが、最終的に平屋を選択。「人生に一度の大きな買い物だし、妥協しなくて良かった」

 真岡市内で年内に自宅を新築する予定の製造業男性(24)は家族間のコミュニケーションを重視する。「どの部屋に行くにも必ずリビングを通る動線にしたい」と、平屋に決めた。

■家づくりで大事なこと

 県内の住宅メーカーも、平屋への“熱視線”を感じている。

 コンチネンタルホーム(佐野市大町)が平屋のモデルハウスを初めてつくったのは2013年。今では手がける住宅の3割が平屋で、受注も増えているという。

 業務管理部の担当者は「共働き世帯が増える中、家事をいかに効率化するかを考えて家を建てる人が増えた」と指摘する。加えて、少子化などの影響で「コンパクトな平屋で事足りると考える人が少なくない」ほか、寝室などが2階にある家で育った人には「平屋が斬新に見えるのではないか」とみている。

 トヨタウッドユーホーム(宇都宮市一ノ沢町)も、5、6年前から平屋の注文が拡大してきたという。商品企画部の担当者は「北関東は平屋を建てやすい広い土地が多く、人気を後押ししているのかもしれない」と分析。近年の家族構成や家事の効率化などを踏まえ、「今の若い人たちには、ワンフロア完結型が大きなメリットなのだろう」と時代の変化を受け止める。

 平屋に限らず、家づくりで失敗や後悔をしないためにはどうすればいいか。

 2社にアドバイスを求めると、トヨタウッドユーホームの担当者は「住宅の断熱等級など最新の省エネ基準を知ってもらい、取り入れてほしい」と呼びかける。コンチネンタルホームの担当者は「家族でどんな暮らしをしたいか、どういう時間を大事にしたいかをよくイメージしてほしい」と念を押した。

トヨタウッドユーホームが手がける平屋住宅(トヨタウッドユーホーム提供)

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