《新紙幣》発行まで1週間…JR発券機は機種変更完了、頭抱える事業者、対応間に合わない自販機も【高知】

20年に一度という新しい紙幣の発行がいよいよ7月3日に迫りました。新紙幣の発行には期待が高まる一方で、頭を抱える人たちもいるようです。

1週間後の7月3日、新しい紙幣の発行が始まります。紙幣の「改刷」は20年ごとに行われていて前回は2004年。今回は1万円札・5千円札・千円札の3種類が新しくなります。

肖像は1万円札が「日本近代社会の創造者」と呼ばれる渋沢栄一。5千円札は女性の教育に尽力した津田梅子。千円札は「近代日本医学の父」と呼ばれる北里柴三郎です。

新紙幣は最新技術の結集。「3Dホログラム」は角度によって肖像が立体的に回転するように見えます。紙幣への採用は世界で初めての技術です。

町ゆく人たちも新しい紙幣に期待している様子です。

Q新紙幣がもうすぐ発行されますが
女性:
「見てみたい。なかなかまわらんろうねえ」
女性:
「(新紙幣は)持っちょきますねえ、財布に」

ところで新1万円札の肖像はご存じですか?

女性:
「え~と誰ぞねえ。渋沢…」
男性:
「えーっと、渋沢栄一でしたね」

では、千円札はご存じですか?

男性:
「わかりません」
女性:
「樋口一葉?違うね」

明神 康喜リポート:
「新紙幣の発行まで1週間。多くの人たちが利用する駅の券売機。対応はどうなっているのか聞いてみましょう」

JR高知駅の改札口そばには4台の券売機があり、半年ほど前に新紙幣対応の措置をとりました。

高知駅・森智重 営業助役
「見た目にはわからないですけど、すでに以前から準備を行っておりまして。今でも新紙幣は対応可能となっております」

県内のJR・土佐くろしお鉄道の駅はすべての券売機がすでに新紙幣対応機種になっているということです。

一方、とさでん交通の電車やバスは改修費用がかかりすぎるとして当面、新紙幣に対応する車内の機器の更新は行わず運転士が随時両替するということです。

明神 康喜リポート:
「1000円を入れました。さあ、どれにしようかな…。これ実は『焼き芋の自動販売機』なんです。今はこういった自動販売機もあるんですね、珍しいですね。新紙幣の発行を目前に、こういった自動販売機の更新作業が今急ピッチなんです」

自動販売機の設置・メンテナンスを行うサンガリア。新紙幣に対応するため部品の交換作業に追われています。

サンガリア商事・片岡 拓也 専務:
「終わったところに全部これ(シール)を貼っていきます」
「自社の所有機が(県内に)800台あるんですけど、その内半分ぐらいは新札対応になってます」

新紙幣を読み取る部品をメーカーから取り寄せ一台一台取り替えていきますが、部品の取り寄せが難しいといいます。

サンガリア商事・片岡 拓也 専務:
「メーカーさんの方が混みあってまして、去年の秋ぐらいから(部品交換を)してるんですが思ったより遅くて、なんとか7月までにと思ってたんですけど間に合わない状態ですね」

千円札にのみ対応する飲み物の自販機の場合、部品代は2万円ほどですが自社の自販機をすべて新紙幣対応にするためには1700万円という費用がのしかかります。

サンガリア商事・片岡 拓也 専務:
「(新紙幣対応が)売り上げにつながるわけではないが、義務感・責任感を持ってやっている。全部費用負担こちらなんで費用と作業負担は厳しい」

高知市北御座にある麺屋「藤しろ」です。看板メニューは「鶏白湯(とりぱいたん)ラーメン」。スープは濃厚かつさっぱりとした鶏のうま味が特徴です。

川辺 世里奈アナウンサー
「ラーメン店の入り口にあるこちらの券売機。紙幣を入れる所がありますが、新しい紙幣には対応していません」

麺屋藤しろ 北御座店 店主・清藤 強志さん:
「旧札しか今、使えないので、新札が使えるように変更予定ですが、新札を読み取る機械の製造が追いつかず順番(待ち)になると思う」

新紙幣対応の券売機の価格はおよそ100万円と高額。材料費や光熱費が高騰する中、店では紙幣の投入口とおつりの出口の2カ所に新紙幣を読み取る部品を付け、費用を30万円ほどに抑えることにしています。

ただ、メーカーからは「新札が発行されてから海外で部品を作るため、導入できるのは年末ごろ」と言われました。

当面の間は店で旧紙幣に両替し、今ある券売機を使い続けます。

お客さんはー

愛媛から:
「中小(規模)のお店だと機械の入れ替えとか苦労してるのでは。実際に紙幣が出回るまではお互い我慢じゃないですかね」

南国市から:
「(新紙幣発行)来年でしたっけ?」
川辺アナウンサー
「来月です」
男性:
「あまり紙幣を使わなくなったのでキャッシュレスで対応だとありがたい」

「藤しろ」の清藤さんによりますと、キャッシュレス機能がある券売機は高額な上に手数料を取られるため経営を圧迫するとのこと。
ほかのラーメン店では新紙幣発行に対応できず券売機を廃止した所もあるそうです。

麺屋藤しろ 北御座店 店主・清藤 強志さん
「大きい出費はできる限り控えたいが、お客さまが便利に使えるのが大事なこと。できる限り投資できる部分は投資していきたい」

新紙幣への対応が追いついていない所も多い県内。発行まであと1週間ですがしばらくは旧紙幣に両替するなど工夫が必要なようです。

© 高知さんさんテレビ