スペインGPで「今季最悪のパフォーマンス」に終わった角田裕毅に対する各国専門メディアの評価は? 「長期的な低迷の兆候でないことを願いたい」との声も

F1第10戦のスペイン・グランプリにおいて、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は、初日からレースまで週末を通して苦戦を強いられ、今季最低順位となる19位でチェッカーフラッグを受けている。

好調なチームが大幅なアップデートを導入したことで、さらなる飛躍も期待されたが、蓋を開けてみるとVCARB01はペース不足が顕著であり、これまでフリー走行と予選では上位につけることが多くなっていた角田が全セッションで下位に沈み、予選は5戦ぶりのQ1敗退で17番手。決勝は最後尾に落ちることもあった厳しい展開の中でローガン・サージェント(ウィリアムズ)の前に立つのが精一杯の状況だった。

このような惨状では、各国専門メディアの評価が低くなるのは当然だが、一方で多くは車の問題を指摘し、10点満点の採点では大きく分かれることとなった。英国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は「3.5」と厳しく、「チームの新しいアップデートが角田に自信を与えていたが、19位という惨めな結果の後では、それは見当違いだったようだ。スタートのポジションから2つ順位を落とし、苦戦していたサージェントにだけ勝つことができた」と、彼のレースを振り返っている。

英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』は「5.5」で、「角田にとっては混乱したレースとなり、さらにピットレーンでのスピード違反でペナルティーを受けた」と寸評を記した。『RACEFANS』は「4」の最低評価を下し、「シーズン序盤は非常に好調だったが、バルセロナで角田は苦戦した」と総括し、以下のように続けた。
「アップデートされたはずのパッケージが全く役に立たなかった中で、予選ではQ1敗退を喫するも、チームメイトを上回るタイムを記録。しかし、レースでは厳しい時間を過ごし、3回のピットストップの後で19位フィニッシュと、非常に不満足な結果に終わった。採点としては『5』が妥当との意見もあるだろうが、ピットレーンでのスピード違反という愚かなペナルティーはこのレベルでは受け入れられず、低調なレースペースと相まって『4』に下がった」

続いて『MOTORSPORT WEEK』は、「予選では再び経験豊富なチームメイトに対してわずかな優位性を保ったが、レースでのペースが振るわず、2番目に遅い順位に落ちたことに困惑した。イタリア・ファエンツァを拠点とするチームとの契約を更新した日本人ドライバーは、(次戦の)オーストリアでのレースでRBが復調し、このところの好調さを取り戻すことを期待している」と次戦にも言及した上で、採点は及第点の「6」を与えている。

『TOTAL MOTORSPORT』は一転して「4」のネガティブ評価で、「アップデートを持ち込んだ後、どこで間違ったのか正確に特定するのが難しいほど、RBにとっては全体的に酷い週末となった。角田は10周目に早めのピットインを行ない、積極的な3ストップ戦略を採用したが、ピットレーンでのスピード違反により、5秒加算のペナルティーという代償を支払った」と綴った。 オランダのF1専門サイト『RN365』は、「スペインではRBのペースが謎の消失を見せ、角田とリカルドの両方がQ1で脱落した。レースでも日本人ドライバーは車のペース不足に苦しみ、後退したまま難しい週末を締め括った」と、VCARB01のパフォーマンスの低さを強調したが、採点は「4」止まりとしている。

『GPBLOG』の採点は、それよりは高い「5」を付与しながらも、「ユウキはこれまでのレースのような印象を残せなかった。予選ではわずかにリカルドより速かったものの、レースでは全く存在感がなかった」と、やはり終始ネガティブな寸評に……。同採点としたスペインのF1専門サイト『F1i.com』も酷評するとともに、今後への懸念を示した。

「ユウキが非常に期待していたフロアのアップデートが施されたにもかかわらず、RBのパフォーマンスは急激に低下。シーズン序盤の成功の後の、彼にとっての今季最悪のパフォーマンスだった。最初のフリー走行で最も遅かった日本人ドライバーは、予選ではチームメイトよりも上位につけたが、レースではピットレーンでのスピード違反のペナルティーもあり、後退を余儀なくされた。彼とRBにとって、これが一時的なものであり、長期的な低迷の兆候でないことを願いたいところだが、その結果はオーストリアで明らかになる」
スポーツ専門サイトでは、『VAVEL』が「今季では珍しい不調なレース。リカルドを予選で上回ったものの、レース中に後退し、19位でフィニッシュした」、『sportskeeda』は「最高でない車による、最高でない週末。日本人ドライバーはオーストリアでの復活を期待しているだろう」とそれぞれ彼の苦しい週末を振り返ったが、採点は前者が「4」、後者が「6」と分かれている。

最後に、今回も選手を採点ではなくランク付けで評価した英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、角田を実際の順位よりは高い「17位」とし、「レースは彼から逃げていった」とバルセロナでの彼を表現したが、寸評ではこの日本人ドライバーを擁護する記述も見られる。

「角田は予選でリカルドをわずかに上回ったが、レースでは全く上手くいかず、最初のスティントで順位を落として早いピットストップをすることになり、ピットレーンでのスピード違反によるペナルティーでさらに問題を重ねた。彼は車の問題に戸惑っていたが、示したペースやリカルドとの比較を見ると、それはコースの条件に起因するもので、彼自身の能力の問題ではなかった可能性がある」

構成●THE DIGEST編集部

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