ソフトバンク小久保監督、東京六大学通算20本塁打のルーキーへ送ったメッセージ 失敗覚悟で送りバントのサイン

6回無死一、二塁、犠打を失敗した広瀬(撮影・永田浩)

◆オリックス1―5ソフトバンク(26日、京セラドーム大阪)

ソフトバンクの小久保裕紀監督(52)が、ドラフト3位ルーキーの廣瀨隆太内野手(23)に失敗覚悟で送りバントのサインを出したことを明かした。白星を重ねながらも選手の成長を促す一手だった。

1点リードの6回。無死一、三塁から正木智也の左前適時打でリードを2点に広げ、さらに無死一、二塁とチャンスは続いた。小久保監督は廣瀨に送りバントのサインを送った。試合後、「(廣瀨の)バントは成功せんやろうなと思いながら(サインを)出しているので」と失敗も覚悟の上だったことを明かした。

指揮官の予想通り、廣瀨は苦戦。初球はファウル。2球目にフライを上げ、捕邪飛でバント失敗となった。悔しそうな表情を浮かべたルーキーは「下位打線なので、送らないといけないところは決めないといけない」と振り返った。

東京六大学リーグ歴代4位タイの通算20本塁打。学生時代は「ほぼしていないです」と無縁だった。「(バントは)難しいというか、ほぼやっていなかったので。そう簡単には決まらないなとは自分では思っています」と話した。

苦手と分かっていながらサインを送った小久保監督には明確な意図があった。「いきなりこの先、3、4、5番を打てるならいいですけど、そうじゃなければ絶対に(小技は)必要なので。ゲームでミスしながら本気で練習に取り組んで、やるしかうまくならないので」と説明。勝たなければいけない公式戦の中でミスすることで成長への糧にしてほしいというメッセージも込められていた。

廣瀨自身も「1軍なので、もちろんバントのサインも出る。しっかり練習しないといけないし、今日の失敗をいい方向に生かせれば問題ない。次は頑張ります」と力を込めた。貯金26でパ・リーグを独走中。小久保監督は育てながら勝つという究極の難題に立ち向かっている。(小畑大悟)

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